「オコエ計画」で月まで到達する。楽天オコエ瑠偉外野手(19)が25日、仙台市内の球団事務所で12球団で今季最初の契約更改交渉を行い、現状維持の1200万円でサインした。ルーキーイヤーの今季は51試合に出場。打率1割8分5厘、1本塁打6打点4盗塁とロケットスタートは決まらなかったが、来季以降の成長を約束。将来は月に土地を購入したいと“スケールMAX”な夢を語った。(金額は推定)

 でっかい夢を打ち上げた。オコエは現状維持という評価に「そんな簡単に(年俸が)上がる世界ではない」と納得の表情を浮かべ、「しっかりと(貯金を)ためていきたい。寮なので、ためられるうちにためていきたい」と堅実な人生設計を披露。しかし、将来の夢を問われると「月に土地を買うことですかね。限られた人しかできなさそうだから」。言い切ると、笑った。

 「オコエ計画」の青写真は着々と描かれている。今季1軍出場は51試合。課題を問われ「バッティングはまだまだ」と打率1割8分5厘に終わった打撃が課題と自己評価。オフにはウインターリーグへ参加して実戦経験を積み、また肉体改造を行うとした。「全体的にスピードが出る筋肉を落とさずに体を強化したい。強くて速いがベスト」と143試合に耐えられる体を作り上げていく。

 月へ走る。守備に関しては1軍、2軍でも高いレベルでできたと確信。打球判断で踏み出す1歩目の速さなど「守備と走塁は自分が思っていた以上にチームに貢献できた」と手応えを口にする。しかし走塁は「細かい盗塁の技術をつけたい」と向上を約束した。

 お手本は先輩だ。過去に盗塁王を獲得した松井稼、聖沢から勉強中。「聖沢さんはプレーを見て的確に助言をくれる。稼頭央さんは練習前に一緒になると話してくれる」と一流への技術を学ぶ。今季53盗塁したオリックス糸井や引退した巨人鈴木のように「成功率を上げたい」と限られた人への成長を掲げた。

 6月18日のDeNA戦では「オコエ1号」となる初本塁打も打ち上げた。「来季は今季以上の成績を最低でも残さなきゃと思う。今季以上に1軍の試合に出るのを目標にやっていきたい」と意気込む。小さな1歩を大きな1歩に。オンリーワンの夢へ、月面歩行のように軽やかに歩む。【島根純】

 ◆月の土地 米国のルナエンバシー社が1エーカー(約1200坪)を2700円で販売している。購入すると月の土地の権利書、月の憲法、土地所有権の宣言書のコピーなどが送られてくる。米国人のデニス・ホープ氏(ルナエンバシー社CEO)が1980年に販売を開始した。今では世界で130万人以上、日本では15万人以上が所有。著名人ではメグ・ライアン、トム・ハンクス、福原愛、福山雅治、香取慎吾らが所有していると言われている。