居ても立ってもいられない。そんな気持ちで赤ヘルファンは広島空港へ足を向けた。その数、約500人。午前11時過ぎに広島ナインを乗せたチャーター機が札幌から到着。緒方監督以下、選手がロビーに姿を見せると声援を送り、ボードを掲げた。

 「みんな信じとるけん」「このままでは終わらない」「大丈夫! あと2勝!」…。連勝での逆転日本一を願う熱い気持ちのメッセージをつづった。

 マツダスタジアムで2連勝し、乗り込んだ敵地でまさかの3連敗を喫し、王手をかけられての帰郷。硬い表情の選手たちの中で笑顔で声援にうなずき、応えていた新井は言った。

 「とにかく、やるしかない。必死になってやっていくだけ。それしかない。しっかり準備して。とにかく明後日(30日)の試合が出来るよう。必死に」

 第1戦から3戦まで本塁打を放ち、日本シリーズ史上タイ記録の3戦連発を放ったエルドレッドは敵地での3試合を振り返り、闘志を見せた。

 「非常に厳しい遠征だった。この状況を打開するためにチームを後押しする一打を打ちたい。ファンのみなさんの後押しもきっとある。あのときの力を発揮したい」

 緒方監督は午後1時前にマツダスタジアムに戻ると3時間ほど監督室にこもった。「増井が先発というのは今、聞きました。頑張ります」。表情は柔和だったが言葉少なに球場を後にした。戦いはまだ終わっていない。あと2つ。いや、まず1つ。ファンのために、やるしかない。【高原寿夫】