<オープン戦:中日3-2広島>◇21日◇ナゴヤドーム

 左手第3中手骨を骨折していた中日森野将彦内野手(29)が開幕スタメンの座を勝ち取った。21日、故障後初めて1軍に合流し、広島とのオープン戦(ナゴヤドーム)に「7番・中堅」で先発。6回に同点に追いつくタイムリーを放ち、守備でも3つのポジションを守るなどフル出場した。故障から約6週間。復帰戦で1発回答を出した森野に対し首脳陣も開幕スタメンを即決。08年開幕布陣が整った。

 執念の“1発回答”だった。6回、1-2と1点差に追い上げて、なお1死満塁。まるで森野の回復ぶりを試すかのようなチャンスがきた。カウント2-2から広島2番手・青木勇の内角ストレートをフルスイングすると、打球はつまりながらも右前に落ちた。

 「あの打席は絶対に見せたいなと思いました。どんづまりでしたけど、手のことなんて考えていなかった。痛みもなかった。ケガのことを気にせずプレーできました」。

 沖縄キャンプで左手第3中手骨を骨折してから6週間。復帰戦でいきなり同点タイムリーを放った。何よりも痛みも、迷いもなくバットを振れたことがうれしかった。中堅の守備でも5回に頭上を襲った飛球をキャッチした。8回には三塁に入ってゴロをさばいた。9回には一塁も守った。打撃での勝負強さ、守備での器用さ、森野の魅力をすべて出した復帰戦だった。

 高代野手総合チーフコーチは「開幕?

 出るよ。使わなきゃ、きょう出さない」と開幕スタメンに太鼓判を押した。ここまで3年目の平田が中堅で出場してきたが、森野が1試合で定位置を奪い返した。

 キャンプ中の2月9日に左手に痛みを訴え、20日に名古屋に戻った後に骨折が判明。ナゴヤ球場でリハビリを行ってきたが、回復が早かった。19日には2軍の練習試合に出場し、タイムリー二塁打を放った。実戦復帰、開幕スタメンへの階段を一気に駆け上がった。

 「ケガした時は間に合いそうなんだけど、間に合わないんだろうなという気持ちの方が強かったですね」。森野は正直な気持ちを吐露した。今後はオープン戦残り2試合に出場した後、25日からのウエスタンリーグ2連戦(対広島・由宇)に出場して実戦勘を取り戻す。今季、落合監督が指名したレギュラー8人の最後の1人、森野が土壇場で間に合った。【鈴木忠平】