<オリックス0-11楽天>◇26日◇京セラドーム大阪

 ノムさん、サッチーの誕生日に、今季初白星-。4連敗だった楽天が、これまでの苦闘がうそのようにオリックスに大勝した。2年目永井怜投手(23)が4安打でプロ初完封、打線も山崎武の今季1号を含む15安打11得点でド派手にお祝いだ。試合前に「サッチーの誕生日に勝利を」という“お触れ”が出ていたが、楽天ナインには何にも勝る起爆剤?

 になった。

 この日を待っていた。ナインたちと握手とハイタッチを交わした野村監督。今年初めての勝利に、心地よい疲労感に包まれた。会見場には「やれ、やれ」と安堵(あんど)の表情で現れ、開口一番「今日は一句、献上します!

 初春や、初物づくしの、初勝利」と詠み上げた。

 「今日は言うことないよ」と言うように、理想的な展開での勝利だった。打線は先制、中押し、ダメ押しで11点。先発永井はプロ初完投を初完封で飾った。オリックスの重量打線におくすることなく、直球で内角に突いた。2回のローズの見逃し三振も、決め球は内角直球だった。23日には、大学の後輩ソフトバンク大場の初完封を目の当たりにした。1年先輩の意地といえる無四球の真っ向勝負だった。孝行息子の投球に、野村監督は「(序盤に)6点ももらって、もっとドンドンいけばいい。1球1球の間合いが永井!(長い)」と、ダジャレで注文を付ける機嫌の良さだった。

 開幕4連敗で迎えたこの日の試合前、ストレッチをする選手の間を、ホワイトボードを手にして歩く、関川打撃コーチ補佐の姿があった。ナインに1人ずつ「これだぞ」と言いながら見せていった。そのボードには「今日はおふくろの誕生日!

 プレゼントに白星を!

 BYカツノリ」と書かれていた。この日は、野村監督の沙知代夫人の76歳の誕生日だった。野村克則バッテリーコーチは「オレが書いたんじゃないっすよ。池山さんですよ」と、池山打撃コーチの仕業と明かす。野村監督も「これはカツノリの筆跡ではないな」とニンマリ。夫人の誕生日-。連敗で重苦しい雰囲気を変えるのに、十分な存在感。先発永井は見た瞬間「白星を何とか贈れるように、頑張らないと」と気合を新たにしたと話す。

 「花が好きだから、バラを贈っておいたよ」と試合前にすでに粋なプレゼントをしていた野村監督。勝利後の会見で、ブラウン管を通じて、夫人にコメントを求められると、照れ笑いを浮かべ「公私混同だから」と辞退。それでも、帰りのバスに乗る際には「勝利の女神か?」とニンマリ。記念の日の初勝利を喜んだ。

 連敗中は「ボヤキは永遠なり!」「北国の春は、まだ遠し」とボヤキ連発だったが、ついについに初勝利。「開花?

 まだ、つぼみが膨らんだくらいだな。明日からだよ」。優勝を誓って出陣した開幕から5戦目。野村楽天はサッチーの誕生日から再スタートを切った。【金子航】