<ヤクルト6-2巨人>◇28日◇神宮

 不安視していた弱点が、ボロボロとあらわになった。巨人は打てず、守れずで2-6と完敗した。「粘っこくいってるし、明日から落ち着いていけるでしょう」と表情を変えず、はっきりとした口調で話す原監督の姿が、逆に背負っている十字架の重さを浮き立たせてしまっていた。

 オープン戦で不振だった打線は、開幕しても同じだった。ラミレスの1発と高橋由のタイムリーで奪った2得点のみ。結果的に手術をせず、キャンプを順調に過ごしたベテランだけの活躍だった。開幕直前となる27日の練習日に、原監督は不安点とし「開幕には、思い描いていたメンバーがそろった。でもオープン戦では勝ちにいく野球ができなかったね」と個々の調整が遅れ、チームとして敵と向き合えなかったオープン戦を振り返っていたが、嫌な予感は的中してしまった。

 バットでは結果を出したラミレスも、守備ではひどいありさま。セカンドを守った坂本も、動きは硬く、失策にはならなかったが、投手の足を引っ張ってしまうプレーがいくつかあった。そしてフォローしなくてはいけない先発の高橋尚も、初開幕で自分のことで手いっぱい。原監督は開幕投手に抜てきした左腕について「なかなか彼のペースにならなかったね」と誰を責める訳でもない微妙な言い回しをしただけだった。

 左ひざ手術から開幕に滑り込みで間に合った二岡も、右ふくらはぎの張りを訴えて4回裏の守備から途中交代。29日の試合出場は、当日の様子を見て決める状態となっている。同じように開幕に間に合わせた小笠原と阿部も動きは悪い。豪華メンバーをそろえ、優勝候補の呼び声高い巨人だが、見掛けほどの強さはないようだ。【小島信行】