<楽天4-3ソフトバンク>◇22日◇Kスタ宮城
武が因縁にも試合にも勝った。楽天の山崎武司内野手(39)がソフトバンク4回戦でソフトバンクのジェレミー・パウエル投手(31)から1安打を含む3度の出塁すべてでホームを踏んだ。過去の2度も死球で負傷し、この日も死球をくらったが、きっちりお返しした。チームは4-3で競り勝ち、再び本拠地での連勝へ向けてスタートを切った。
勝利の喜びに水を差す死球だった。山崎武は、試合後のベンチ裏通路を歩きながら、収まりのつかない感情を吐き出した。「あいつ、完全に当てに来たぞ。『来る』って感じたから、普段より10センチ、15センチ下がっていたのに(死球)だぞ」と、ソフトバンク・パウエルへの怒りをあらわにした。
問題の場面は3回だった。2死走者なし。初球が腰を襲った。腰を引いてもベルトにかすめた。怒りをたたえた両目を見開き、マウンドのパウエルから視線を外さない。ただならぬ空気に、両軍ベンチもグラウンドに飛び出した。「2死走者なしなんて、絶好の当てるところだしな。中日の大先輩、大石さん(ソフトバンク・バッテリーコーチ)がなだめてくれたから、行かなかったけど、そうじゃなかったら…」と山崎武。乱闘にこそならなかったが、まさに一触即発だった。
2人の因縁は、3年前にさかのぼる。パウエルがオリックスにいた05年、山崎武は死球で右手薬指を剝離(はくり)骨折。さらに、同投手が巨人に移籍した06年にも、交流戦で死球を受け、右手中指と薬指を骨折した。山崎武は先週からパウエルの死球を心配していたが、パウエルは前日に内角攻めを公言。「新聞で見たけど、これじゃあ、予告死球だろ」と、あきれた。「(捕手の)的山にも、第1打席で『内角攻めはいい。でも、危ないところに来たら、行くぞ』って念を押しといたんだ。毎年毎年、当てられて、こっちにも家族があるんだ」と続けた。
「あきれるというか、寂しいよ。自分がどういう経緯で、野球をやらせてもらっているか考えたら、あんなことできないだろう。日本の野球をなめている。野球をやろうぜ。助っ人なんだから。売られたケンカは買うよ。やるなら、バットとボールを置いてマウンドでやるぞ」と吐き捨てるように言った。それでも山崎武は死球から貴重なホームを踏んだ。3度出塁し、意地の3得点をマーク。「まあ、勝ったからいいけどさ」。因縁とともに、後味の悪さの残った。【金子航】



