<巨人4-3ロッテ>◇6日◇東京ドーム

 原巨人にすごい新人が現れた。加治前竜一外野手(23)がロッテ戦3-3の延長10回裏、プロ野球史上初となるプロ初打席サヨナラ本塁打を放った。1日に1軍に初昇格し、この回表に右翼の守備で途中出場。その裏、1死走者なしでロッテ川崎から劇的な1発を右翼席にたたき込んだ。東海大卒で原監督の後輩になる。広角に長打を打てる思い切りのいい“原2世”が巨人を救った。

 誰も味わったことのない衝撃だった。加治前の上にナインが飛び掛かる。あおむけになったときには記憶が飛んでいた。ユニホームがはだけたまま、ベンチに引き揚げる。待っていたのは大学の先輩でもある原監督だった。抱きかかえられるように、笑顔で抱擁された。史上初のプロ初打席でサヨナラ本塁打。「信じられないです。ホームインの瞬間?

 あの辺はもう意識はなかったです」。プロ野球70年を越える歴史の中で、誰も体験したことのない興奮と痛みが体を包み込んでいた。

 自然と反応した。10回1死、ロッテ川崎が投じた外角チェンジアップを豪快に右翼席に運んだ。「変化球で入ってきそうだなとも思いましたけど、あくまで真っすぐ待ち。うまく反応しましたね」と、打者としての嗅覚(きゅうかく)が働いた一打だった。

 プロ入りを決めたのも、右方向への本塁打だった。昨年の明治神宮野球大会1回戦の東亜大戦。外角のスライダーを神宮の右中間席に運んだ。加治前の名を全国に知らしめたのは、同大会で大場の150キロ直球を左翼席にたたき込んだ1発だが、視察に訪れた当時チーフスコアラーの三井氏(現査定室長)が「あの外のスライダーを右方向に持っていくパワーは素晴らしい。スイングスピードも速い」と、報告。大学通算打率は3割4分以上、13本塁打と数字は残していたものの、それまでは決して高い評価ではなかった。だが報告を受けて清武代表が指名を決断した。東海大卒ということで原監督の縁故での入団と思われがちだが、自らの実力で勝ち取った。

 歴史に名を残す本塁打はチームにとっても大きなものだった。「初ですか?

 そういうキャラじゃないんですけど。本来?

 控えめな感じですよ」と、目を丸くさせた。原監督も「プロ初?

 今後も史上初の何かをしてくれる選手になって欲しいね」と、興奮気味に話した。

 記念のホームランボールは、キャッチしたファンから試合後手元に届けられ、お礼に打撃手袋にサインしてプレゼントした。「ボールは実家に送ります」。巨人を救ったヤングGがまた1人。はにかむ初々しい姿が頼もしく映った。【久保賢吾】