<巨人3-9西武>◇9日◇東京ドーム

 西武が強力クリーンアップ3人で全9点を挙げ、巨人を粉砕した。復調した4番クレイグ・ブラゼル内野手(28)が、リーグ単独トップに立つ17号決勝3ランを含む来日初の4安打、4打点と大暴れ。3番中島裕之内野手(25)が13号3ランを放てば、5番G・G・佐藤外野手(29)も先制打など2安打2打点をマークした。前夜、完封負けしたリベンジを果たし、巨人に3勝1敗と勝ち越した。巨人は前回3本塁打を浴びたグライシンガーがこの日も2アーチでKOされ、またも貯金に失敗した。

 完全復活を告げる大飛球が、東京ドームのバックスクリーン右まで伸びた。1点を追う3回無死一、二塁。ブラゼルの長いリーチは、外角に逃げる厳しいコースにも手が届く。直前に空振りしたグライシンガーの宝刀チェンジアップを、今度は確実に仕留めた。リーグ単独トップに返り咲く17号逆転3ラン。「気持ちがいいね」と誇らしげに胸を張った。

 月が替わって、笑顔と自信を取り戻した。5月は打率1割7分4厘。早打ちの弱点を見抜かれ、ボール球を振り続け、打撃ランク最下位にまで落ち込んだ。きっかけは、試合前の練習で始めたノック。「バランスがコントロールできるようになった」と呼び込んで打つポイントを再確認できた。いつも岡村守備走塁コーチのノックバットを使って験も担ぎ、ここ5試合で4発目。来日初の4安打で4打点。6月は5割2分2厘と開幕当初の勢いが戻った。長く苦しんだ“五月病”にも、おさらばだ。

 4番が復調すれば、好調のクリーンアップがさらに破壊力を増す。5番G・G・佐藤は1回、右前にポトリと落ちる先制打を放ち「ひどい当たりだけど、でかかった」と流れを呼び込んだ。9回には犠飛でダメ押しし、2安打2打点。北京五輪日本代表候補の追加メンバーに選ばれ、この日はオールスターゲームファン投票の中間発表で最多得票獲得の一報も飛び込んできた。「信じられない。メチャ出たいですね」と初出場への思いを膨らませ、ファンへの感謝をバットに込めた。

 3番中島も続いた。4回に13号右越え3ラン。「うまいことミートできました」と真ん中直球を得意の逆方向に押し込んだ。クリーンアップ3人でなんと全9打点。前夜は3安打完封を許したが、ほかの3試合では合計9発と派手に打ち勝ち、巨人に3勝1敗と勝ち越した。「4番が調子を上げてきたから、打線につながりが出る。効果的な本塁打が出て、うちの野球ができた」。渡辺監督のほおも思わず緩む、今年の勝ちパターンだった。【柴田猛夫】