<セCS第1ステージ:阪神7-3中日>◇第2戦◇19日◇京セラドーム大阪

 中日は阪神に敗れて1勝1敗とされ、第2ステージ進出へ逆王手をかけられた。先発の“虎キラー”チェンが鳥谷に3ランを浴びるなど4回4失点。この日出場選手登録された3番手中田も、鳥谷のソロアーチと2暴投などで1/3回で3失点した。昨年から続くクライマックスシリーズ(CS)の連勝は6でストップ。20日、息を吹き返した宿敵との最終決戦に総動員態勢で臨む。

 CS初黒星だった。試合後、落合監督は無表情で監督室から出てきた。「立ち上がり?

 いいじゃない。きょうの試合に初めて投げられただけでも成長しているってことだろう」。先発チェンが、中田が、背信の投球で自滅したが、試合を振り返ることはしなかった。

 最初の誤算は先発チェンだった。初回1死一、二塁から金本に真ん中に入った直球を中前にはじき返されて先制された。CS初登板の緊張からか変化球でストライクが取れず、打者をねじ伏せる直球にも威力がない。そして続く鳥谷への2球目。禁断の1球、135キロの力ない直球は右翼席への3ランとなった。短期決戦では重すぎる初回の4失点。「きょうは悪すぎた。緊張感、大事なゲームというのがあった。もうちょっと強くならないと。気持ちが弱い」。4回4失点と本来の力を出せなかったチェンはうなだれた。

 勝機はあった。2回に井端の適時打で1点を返し、6回には森野の2試合連続ソロで2点差とし、終盤の逆転劇へ望みをつないだ。だが、3番手中田が流れを断ち切った。6回からマウンドに上がった右腕は先頭の鳥谷にソロを浴びるなど3安打2四球、2暴投で3失点。1死しか取れずに降板した。首脳陣は今季不振にあえいだ中田の復活に期待したのか。フェニックスリーグから15日に1軍合流させ、出場選手登録したこの日に即登板させたが、結果は裏目だった。試合後、中田は報道陣に何を聞かれても前を見つめたまま無言を貫いた。

 すべては20日の1戦で決まる。阪神に6勝17敗1分とたたきのめされた今季は逆襲を誓ってCSへ臨んだ。落合監督は覚悟を示すように最終決戦に総動員で臨むことを宣言した。

 「きょうと明日では戦い方が違う。手の打ち方が変わるよ。きょう(投手を)使い切るわけにはいかないだろう」。20日先発が予想されるのは山本昌だが、今季10勝の吉見もおり、展開によっては早い回に投入することも可能だ。さらにこの日は勝ちパターンの高橋、浅尾、岩瀬も温存した。岩瀬は8回からの登板も覚悟の上だ。持てる力のすべてを結集して勝ちに行く。【鈴木忠平】