中日からFA宣言した中村紀洋内野手(35)の楽天入団が25日、決定的となった。この日、都内で楽天と初交渉し、2年総額2億円の条件に加え、野村克也監督(73)直筆の色紙を渡された。交渉後の会見では「前向きに考えたい。決まれば、明日にでも連絡したい」と話し、早ければ26日にも入団意思を伝える見込みとなった。(金額は推定)

 予定の午後6時より20分早く会場入りした中村紀はわずか30分後に、満面の笑みを浮かべて出てきた。

 中村紀

 まず真っ先に手をあげていただいたことに感謝したいです。球団、野村監督から一緒に戦いたいという言葉をもらいました。前向きに考えさせていただきたいと答えました。

 米田球団代表、三村編成部長との交渉では2年総額2億円を提示された。複数年を希望していた中村紀にとって納得できる数字だった。ただ、それ以上に心を動かされたのが楽天の熱意だという。野村監督は契約最終年となる来季にクライマックスシリーズ出場をかけていること、そのために三塁手としてフル出場してほしいことを伝えられた。

 中村紀

 条件より、勝つために必要とされていることがうれしかった。CSにどうしても出たいということだった。野村さんが来年終わるということも聞いたし、何とかその手助けをしたいと思いました。

 そして、心をさらに熱くさせられたのが野村監督直筆の色紙だった。「高下在心(こうげざいしん)」-。物事がうまく運ぶかどうかは、心掛け次第という意味の言葉だった。

 中村紀

 今までの野球人生、いろいろなことがありましたけど野村監督がおっしゃったように『枯れたヒマワリ』をもう1度咲かせようという気持ちになりました。本当に前向きに考えたい。家族とも相談して早く決めたい。

 近鉄で一時代を築いたスターも35歳。野村監督からは独特の表現で「枯れたヒマワリ」とラブコールを送られていた。野球人生終盤にもうひと花咲かせたい。1枚の色紙に意欲をかき立てられた。

 この日の会見で「前向き」という言葉を6度も使った。あとは家族と相談して、最終決断を下すだけ。楽天入りは秒読み段階だ。【鈴木忠平】