トラ年をドラ年に変えよ-。中日西川順之助球団社長(77)が28日、名古屋市内の球団事務所で行われた仕事納めのあいさつで、球団職員にハッパをかけた。今季はリーグ優勝を逃し、本拠地観客動員がセ・リーグ6球団で唯一前年比を下回った。来季はグラウンド内外での巻き返しがテーマとなるが、それにしても干支を変えろという難題のココロとは…?

 これも、西川球団社長ならではのナゾかけか。仕事納めのあいさつで、球団職員に一席ぶった。「今年1年間、苦労したがあっという間だった。来年はぜひいい年にしたい。トラ年に濁点をつければドラ年になる」。

 職員の頭上に「?」マークが浮かんでも、社長の口調は滑らかそのもの。トラに濁点をつけるとは、現状では点が2つ足りないということ。その2点についても説明した。

 (1)優勝せよ

 「来年の重点目標は、現場、フロント一体となって、セ・リーグのタイトルを取ること!

 2年間、タイトルから離れている。セ・リーグ優勝からは3年間離れている。まずセのタイトルを勝ち取ること。あとはCSを勝ち抜いて日本一を狙う」。

 11月30日のOB総会で、落合監督はV奪回への固い決意を示した。「去年はセ・リーグのペナントを逃がした。ここを第1目標に、この1点にしぼってやる」と、あえて3位以内ならCSという逃げ道を封印した。指揮官の意向をくんだ西川社長が、職員にも号令をかけたようだ。

 (2)赤字体質脱却せよ

 「来年は今年以上の不況も予告される。シーズンシートの売れ行きも苦労していると聞く。経済評論家の予想は来年度の秋ころにならないとよくならない。そこにあえて挑戦して、ドラゴンズが健全に経営できるようやっていこう」。

 今季は8年ぶりに球団経営が黒字に転換したという。西川社長は「選手を含めた人件費の影響が大きかった」と説明する。推定年俸6億円のウッズ、3億4000万円の川上(現ブレーブス)が退団し、新加入した2700万円の格安新外国人ブランコが2冠王となった。だが来季は、今年以上に経費を見直さなければ、すぐに赤字に転落するという。

 社長の熱~い思いは、職員に伝わったのか。伝わったとして、実現できるか。答えはトラ年、10カ月後に出る。【村野森】

 [2009年12月29日11時37分

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