<横浜8-5巨人>◇31日◇横浜スタジアム

 横浜が劇的なサヨナラ勝ちで、最下位生活から脱出した。因縁の原巨人との第2ラウンド。5-5の9回、日本ハムから移籍したターメル・スレッジ外野手(33)がサヨナラ1号3ランを右翼席に放った。08年4月5日以来、最下位に沈んでいたチームが尾花高夫新監督(52)を迎えて、どこまで変われるか~

 全員野球でかけがえのない1勝をつかみ取った。尾花横浜が劇的なサヨナラ勝ちで因縁の巨人を倒した。同点の9回2死一、二塁、5番スレッジが右翼席へ試合を決める一撃をたたき込んだ。メジャー時代の愛称「スレッジ・ハンマー」にふさわしい一撃に、「興奮していて言葉が出ない。本当にうれしい」とまくしたてた。尾花監督は「打った瞬間、行ったと思った。いやー、本当によく打ってくれた」と、青一色に染まった右翼席とは対照的に、ほおを紅潮させた。

 1回、先発吉見がいきなり4点を奪われた。昨季、4点差以上を逆転したのはわずかに4試合。今までならこれで終わりだったが、改革元年、生まれ変わったチームは違った。序盤から徐々に差を詰め、最終回で王者を差し切った。普段はクールな指揮官が「ベンチの気持ちも負けていなかった」と感情をあらわにした。

 目指す野球での1勝だった。開幕前日の京セラドーム大阪での練習前、選手を集めて、改めて「全力プレー」と「チーム一丸」を指示した。代名詞は「アナライジング・ベースボール(分析野球)」だが、真のテーマは「フォア・ザ・チーム」。チームが1つにならなければ、2年連続最下位からの脱出はない。

 吉見の後を5人の継投策で1失点にしのいだ。8回2死満塁で小笠原を抑えた牛田はキャンプ中から指揮官が徹底的に鍛え上げた1人。短期間に急成長し「あの場面で三振をとれるのは牛田だけ」と深い信頼を得る存在となっていた。

 主砲村田が反撃ののろしを上げる2号ソロを放てば、新外国人のカスティーヨは8回に値千金の同点ソロを打った。選手会長の村田も「去年までならこういう勝ちは少ない。我慢でつかんだ勝利だった」と満足そうに振り返った。

 本拠地初勝利が最高の勝ち方で、最下位生活からも脱出した。「今年は何かが起きる。お客さんは最後まで帰らないでグラウンドにいてもらいたい」。ゴール前の大逆転に、尾花監督の鼻息も荒かった。【鈴木良一】

 [2010年4月1日8時17分

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