<阪神11-5中日>◇29日◇甲子園

 派手さはブラゼルの3連発にかなわないが、勝ちを決定づけた真打ちは、4番・新井貴浩内野手(33)の一振りだった。2点をリードの3回。甘く入った朝倉の141キロを仕留めた。左中間最深部に運ぶ10号3ランで5-0。序盤で落合竜の戦意を喪失させた。

 「こっちに流れが来ていたんで。しっかり(走者を)かえせてよかったです」

 アニキ金本の記念日を飾る1発でもあった。試合前、ギネス認定の表彰式があった。自身が広島にプロ入りした99年に始まり、自身の野球人生と双曲線を描く足かけ12年の大記録。「本当にすごいことです」。あらためて敬意を表す1日となったが、野球人として最高のプレゼントを贈った弟分は「お兄ちゃんの偉大な表彰の日に花を添えられて、弟としてもうれしいです」と自慢げだった。

 今年元日。金本と広島のジムで行ったトレーニングで、目標に“2度のビールかけ”を挙げた。「(リーグ)優勝と日本一。それしかない。1度も優勝したことがないし、ビールかけがしたいですよ」。対中日、巨人6連戦の大事な初戦で示した存在感は頼もしい限り。元日に誓った12年目の悲願実現まで、迷いなく突き進む。【松井清員】

 [2010年6月30日12時8分

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