<阪神5-1中日>◇1日◇甲子園

 真弓阪神の一丸攻撃力も捨てたもんやないで!

 1点差の8回に一挙5得点の集中力で中日吉見を攻略した。V打は我らが4番新井貴浩内野手(33)。1死二、三塁から、サッカーでいえばゴールネットを突き破るシュートのように、鋭い当たりの2点打を中前にはじき返した。最高のはずみをつけて、2日からは4ゲーム差を追いかける首位巨人との3連戦。全員守備からの全員攻撃で、セ界の王国に食らいつく。

 ライバルの後ろ姿をとらえる打球が、中前ではずんだ。鋭い打球とともに勢いよく駆けだしたヒーローは、一塁を回ったところで2者が生還したのを確認。次の瞬間、喜びを爆発させるように雄たけびをあげながら、大きく広げた両手をひとたたきした。同点の8回1死二、三塁からのV打。これぞ4番の仕事を、新井が果たした。

 新井

 前の打席は満塁で打てなかった。だからもう1回、チャンスで回って来いと思っていた。

 8回。ネクストサークルで3番マートンの同点打を見届けた。直前の打席は6回、2死満塁で三ゴロ。2死から前の打者が必死につないだ好機に、結果で応えられなかった。

 新井

 安ちゃんが頑張っていい投球をしていたのに打てなくて。何とか勝ちを付けてあげたかった。

 久々の1軍復帰登板で好投しながら援護できなかった安藤への“ざんげ”も込めて打席に入った男の集中力は、極限。カウント2-2からの6球目。低めフォークボールに、出かかったバットを寸前で止めた。打席を外して汗をふき、仕切り直した。直後の7球目。6回に打ち取られたシュートを、今度はきっちりとらえて決勝打とした。

 新井

 もう1回(チャンスで)回って来いとずっと思っていたので、本当にうれしかったね。

 試合後も興奮が収まらないのか、同じフレーズを何度も繰り返した。顔は紅潮しっぱなしだった。

 2日からは、首位巨人が待ち受ける敵地東京に乗り込んでの3連戦が控える。6月30日の敗戦で5ゲーム差に離されたが、チーム一丸の激勝で4ゲーム差に再度詰めた。3連勝しても首位奪取とはいかないが、5月2日以来、ちょうど2カ月ぶりとなる「伝統の一戦」に燃えないわけがない。

 中でも闘志をみなぎらせるのが、金本の代役4番を任される新井だ。直接対決のない交流戦中も、新聞でまず目を通すのが巨人の記事。ナイターやデーゲーム後の食事中も携帯電話を手にライバルのゲーム速報を気にした。順位表の上に位置する巨人への意識が常にあった。「勝負どころはまだ先と分かっているけど、巨人戦は別ものだから」。そう言い続けてきた男は、再戦を前にしたお立ち台でも熱い声援をくれる本拠地のファンに「明日から東京なので、気合入れて頑張ってきます」と絶叫した。

 8回の集中打で攻略。ここ10試合中6試合で2けた安打を記録するなど、打線は上り調子。ライバル巨人も強力打線を誇るが、互角に渡り合えるだけの力と勢いを甲子園で蓄えた。【石田泰隆】

 [2010年7月2日11時29分

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