<阪神6-9ヤクルト>◇13日◇京セラドーム大阪

 阪神がヤクルトと壮絶な乱打戦を演じるも競り負けた。巨人が勝ちまたも1日で首位陥落。それでもマット・マートン外野手(28)が12号ソロを含む自身18試合ぶりの猛打賞。これで3試合連続マルチ安打と完全に上昇気配だ。周囲の雑音に「オレはスランプじゃない」と公言していた通りの活躍。チームも好調ヤクルトに負けじと2ケタ安打。14日こそ猛虎打線が打ち勝って見せる

 まだ追いつける-。マートンはわずかな可能性を信じていた。6回表に5失点し、7点ビハインドを背負った6回裏。気落ちしてもおかしくない場面、当たり前のように疲れた体をフル稼働させた。先頭で館山と向き合い、カウント0-1。真ん中から外へ逃げるスライダーを追いかけ、完ぺきにミート。弾丸ライナーが左翼3階席フェンスを直撃する。不調時とは明らかに違う打球の質。2試合ぶりの12号ソロで完全復活を印象づけた。

 マートン

 打つべきボールが来て、しっかりバットの芯に当たったね。ここしばらく和田さんとやってきた成果が出たよ。

 停滞期がウソのようだ。後半戦開幕から11試合は46打数8安打で打率1割7分4厘。前半戦からは想像つかない不振に陥っていた。それでも「シーズンで波があるのは当たり前」と練習、試合の準備スタイルは変えなかった。10日の広島戦(マツダ)で15試合ぶりの1発をマーク。翌11日は台風接近のため試合が中止となり、和田打撃コーチと約30分間打撃論を語り合った。厚い信頼を寄せる“師匠”とは、毎日のように打席に立った時の姿勢を矯正。自分を信じ、周囲に支えられ、快音を取り戻した。

 移動日のこの日、疲労を抱えながら、それでも恒例の早起きだ。ブラゼルとともにチーム便より2時間早い新幹線に乗り込み、広島から帰阪した。遠征からの帰阪日で夜に試合がある日は必ず早起きし、神戸市内の自宅へ1度戻る。「家族の顔が見たいから」。ステファニー夫人に1歳の長男マイカ君、生後3カ月の長女メイシーちゃんとランチを楽しみ、充電を完了して“戦場”に向かった。

 試合前練習中には珍しい光景も。普段通り右翼守備に向かうと、ブラゼルが突然ノックバットを握った。京セラドーム大阪の天井に乗っかる大飛球を何度も打ち上げられ思わず「ププッ」と吹き出した。仲間の配慮でリラックスし、試合に入った。1発を放ち、6点ビハインドの7回2死一、三塁からは左前適時打。3安打2打点2得点で7月17日ヤクルト戦(神宮)以来、27日ぶりの猛打賞を記録。これでヤクルト戦の打率は4割3分8厘だ。

 赤毛の助っ人が反撃を呼び込み、敗色濃厚の展開から最終的に13安打。7試合連続2ケタ安打と絶好調のヤクルト打線と互角に打ち合った。チームの連続イニング安打は2回に「19」でストップしたが「安打製造機」が再稼働。首位から陥落し、巨人を1ゲーム差で追うが光明もあった。「勝てなかったのが残念」。唇を噛むツバメキラーの視線はすでに14日の首位再奪取へ。今度こそヤクルト打線に打ち勝つ。

 [2010年8月14日11時48分

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