<横浜3-5中日>◇28日◇横浜

 プロ27年目の中日山本昌投手(45)が横浜打線を6回2/3、3失点に抑え、今季3勝目を挙げた。先発では200勝目となり、歴代10位タイに浮上した。45歳以上のシーズンで年間3勝を挙げたのも浜崎(阪急)以来2人目の快挙。現役続行への条件として自らに課していた勝利数にも到達し、28年目のシーズンも見えてきた。チームは首位阪神に1・5ゲーム差と迫った。

 勝ちたかった。チーム最年長として、どうしても止めたかったチームの連敗。プロ27年目の山本昌が走者を背負っても崩れないベテランらしい投球で、24歳年下の横浜阿斗里との投げ合いを制した。ヒーローインタビューでは若々しい笑顔を振りまき、ファンの声援に応えてみせた。

 「気合だけでした。チームが(前日まで)負けていたし、何とかこういう時に頑張りたいと思っていた。前半戦で何もしていないので、少しでも貢献したかった」。

 今季最多の117球。7回には2死から2点を失い、納得の降板はできなかった。それでも11勝を挙げた08年以来、2年ぶりとなる3連勝。夏男は今年も8月に強かった。毎回のように得点圏に走者を背負ったが、緩急を使った投球で、横浜打線をかわし続けた。

 同じ過ちを繰り返さなかった。前回21日のヤクルト戦では打者との力勝負に走り、2回に落合監督からマウンドで直接ゲキを受けた。だがこの日は初回から緩急を使い打者をかわし続けた。「前回は失敗したので、今回はと思っていた」。監督もベンチにどっしりと腰を下ろし、試合を見守り続けた。

 決めたことは必ずやり通す男だ。昨春キャンプで2軍スタートだった山本昌は、1軍に合流するまでの3週間、宿舎から球場まで約30分の道のりを毎日歩き続けた。小雨が降る日も、年下の選手たちが車に乗り込む中「オレは歩くよ。自分で決めたことだから」とサトウキビ畑を抜けて球場を目指した。そんな意志の強さが、この日のマウンドでも表れていた。

 3勝はどうしても到達したい数字だった。8月7日に今季初勝利を挙げた翌日。山本昌は喜びに浸ることなく、来季現役続行のノルマとして、先発ローテを守り続けることと、最低3勝の2つを挙げた。「3~5勝、そのぐらいは勝たないといけないと思っている」。そして、わずか4試合で3勝をつかむ有言実行の活躍。来季の現役続行にまた1歩前進した。

 これで再び首位と1・5ゲーム差。そして、シーズン終了まで先発ローテを守り続ければ、来季への展望も大きくひらけてくる。「これからも投げる試合で貢献しないと」。今年で終わるつもりはない。山本昌はまだまだマウンドに立ち続ける。【福岡吉央】

 [2010年8月29日8時48分

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