横浜球団の買収を検討している住生活グループの潮田(うしおだ)洋一郎会長(56)が、来季から球団人事で主導権を発揮する考えを示した。都内で取材に応じ「仮に引き受けるとしたら、価値に大きく影響を与える項目。さわらないでいただきたい」と、現体制で進める人事にストップをかけた。横浜の若林貴世志オーナー(68)は現体制の継続を要望していたが、完全に否定した形。買収が成立すれば、3年契約2年目の来季を目指す尾花高夫監督(53)の去就問題に発展する可能性が高くなった。

 潮田会長が、球団人事に対して強い意志を示した。現体制で来季の組閣が進行している点について「10月というタイミングで人事が動かなくてはということはよく分かります。ただ、仮に我々が(球団を)お引き受けする場合は、引き受ける価値に大きな影響を与える項目でもある。なるべくならば、さわらないでいただきたいと考えています」と語った。「価値への影響」という言葉からも、チームの顔となる監督の人事に言及したと受け取れる。

 尾花監督は今季からの3年契約を結んでおり、若林オーナーは「フロント、現場は現体制で引き継ぐのがスムーズ。(住生活側にも)了承してもらった上で話を進めている」と、続投の見通しを示していた。だが、この発言についても潮田会長は「どのようなニュアンスでおっしゃったか分からない。我々はお話を頂いていない」と否定。来季のフロントや監督については「まったくの白紙」と強調した。

 身売り問題があるとはいえ、時期的にも、球団が来季に向けて動くのは当然。一方で新オーナー会社が、買収した初年度を希望ある形で迎えたいと考えることも当然といえる。チームは3年連続の最下位で、今季も95敗を喫する惨敗だった。戦いの内容からも、来季への希望は薄い。

 潮田会長は、球団買収のメリットについて(1)グループブランド「リクシル」の知名度を高める効果(2)社員、顧客などに対するシンボリック(象徴的)な求心力という2点を挙げた。ただ「シンボリックな意味を持つには(チームが)強くないといけない。現状必ずしもそういう状態ではない。そこはリスク」と、現状を問題視している。

 球団買収の正式承認は11月18日のオーナー会議になるが、方向性が見えた段階で人事など球団運営に着手する可能性が高い。本拠地問題、尾花監督の去就と、住生活グループの方針が注目される。

 [2010年10月13日9時9分

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