<楽天2-5中日>◇12日◇Kスタ宮城
中日岩瀬仁紀投手(36)がプロ野球記録の286セーブを達成した。楽天戦で3点リードの最終回を3者凡退で抑え、元ヤクルト高津臣吾投手(42=BCリーグ・新潟)の記録に並んだ。球史に名を残しながら「まだ途中の段階。これから積み重ねていかないといけない」と通過点を強調。前人未到の300セーブまで突き進む覚悟だ。
マウンドでめったに表情を崩さない岩瀬が少しだけ笑った。2死走者なし。内村を追い込み、4球目。外角いっぱいの134キロ、代名詞のスライダーで見逃し三振に仕留めた。次々と集まるナインと、照れくさそうに握手した。
「今日達成できてホッとしている。とにかく3つのアウトというのが難しいので丁寧にいった」。2人の恩人の前で偉業を達成した。13年前。当時、中日監督だった星野監督は「長いイニングを投げられない」と報告を受けた岩瀬の獲得を進言した。04年に監督に就任した落合監督はすぐさま岩瀬をクローザーに起用した。2人の監督がいなければ日本記録は生まれなかった。
「自分には人と巡り合うという運があった。出会ったすべての人に感謝しないといけない」。昨年12月26日。退職する高校時代の恩師を当時の野球部員で囲んだ。その席で先輩の息子宮地貫太君(13)が病と闘っていることを知った。野球が大好きだが、1カ月のうち1週間は入院生活。話を聞き、居ても立ってもいられなかった。
その足で愛知・西尾市内の自宅を訪問した。一緒に写真を撮って部屋の壁にサインをした。「オレも頑張るから貫太君も頑張って欲しい」。驚く少年を前に、そう話し掛けた。チームでも、打たれて落ち込んでいる後輩を見つけたら声を掛けている。つらくて孤独な職場を黙々と守り続ける原動力には、人への優しさがある。
「まだ途中の段階なので1つ、1つ積み重ねていかないと。それよりも安心できるピッチングを見せられるように」。前人未到の300セーブを見据えて表情を引き締めた。【桝井聡】



