<阪神2-4巨人>◇26日◇甲子園
巨人脇谷亮太内野手(29)が壁を乗り越えた。4回、天敵の阪神能見から左中間を破る2点適時三塁打。試合の流れを大きくたぐり寄せた。4月20日の阪神戦で、ブラゼルの飛球を巡って捕球か落球かの議論が起こり、それ以来、阪神ファンからブーイングを浴び続けた。2軍降格も経験しながら、いわく付きの甲子園で価値ある一打を放った。
脇谷の思いが、白球に乗り移った。1-0の4回2死一、二塁。1ボールからの2球目外寄り直球にバットを思い切りぶつけると、打球は中堅左へ。阪神柴田が猛追する。「とにかく抜けてくれと思いながら、全力で走りました」。打球は左に切れながら柴田の横を通過し、2点適時三塁打に。「チャンスの場面で1本出て良かった」と安堵(あんど)感を漂わせた。
どん底からはい上がった。4月20日阪神戦の7回、ブラゼルの二飛を巡って落球か捕球かの論議がおこった。それ以降、脇谷は名前をコールされるたびに、阪神ファンからブーイングを受けた。期せずして調子も下降し、2軍降格も経験。だが踏んばった。「結果を出すためには練習するしかない。精神的にも肉体的にもコンディションを整えていかないと」。
5月のある休日、塩カルビ弁当ととろろそばが入った袋を手に、ジャイアンツ球場に現れた。「ご飯を食べに来ただけですよ」とちゃめっ気を見せつつ、休日返上で汗まみれになるまで打ち込んだ。「奮起したいと、いつも思っています」。必死だった。
10試合ぶりのスタメンとなったこの日、ブーイングはなかった。「つらい思いもあったけど、切り替えていきました。これをきっかけに、どんどん活躍できればと思います」。壁をひとつ乗り越えた。
打線も8連敗中だった能見の呪縛を解いた。岡崎ヘッドコーチが「ラミレスが得点源なので前に調子の良いバッターを」と言うように、3番起用の首位打者長野が3安打し、ラミレスが2打点。原監督は「チーム打率(2割3分2厘)からすると、攻めていかないと点が入らない」と、11安打中ファーストストライクの見逃しは2つのみと、積極性も天敵攻略につながった。負ければ、4位となった06年以来の借金7となり、大逆転優勝した08年の借金6を超えて、デッドラインに突入する危機だった。そんな負のデータも振り払った。この1勝は、弾みになる。【浜本卓也】
<4月20日ブラゼル飛球VTR>
阪神1点リードの7回裏、2死一、三塁の場面でブラゼルが二塁後方へ飛球を打ち上げた。追いかけた二塁手脇谷はグラブに当てて落としたようにも見えたが、土山一塁塁審は捕球しているとアウトの判定。真弓監督が5分近く抗議するも、判定は覆らなかった。試合は巨人が8回表に3点を挙げ逆転勝ち。阪神は翌日、審判団の技術向上を求める要望書をセ・リーグに提出した。



