<巨人6-3ヤクルト>◇16日◇東京ドーム

 巨人の新4番・長野久義外野手(26)が、1発で試合の主導権をたぐり寄せた。1点リードの3回1死一塁から左翼へ11号2ラン。4番に座り3試合目で初アーチを放った。続く4回にも適時打を放ち、4打数2安打3打点。新4番にけん引された打線は、13安打6得点とつながりを見せた。投げては先発の西村健太朗投手(26)が、プロ初完投で2勝目。投打がかみ合った巨人はヤクルト戦の連敗を8で止めた。

 4番でいける-。長野の新たなスタートを予感させた。1点リードの3回。ヤクルト山本斉の投じた2球目に体をクルリと回転させた。力強いインパクトでボールがバットに当たる。打球は弾丸ライナーで左翼席最前列へ。「正直入るとは思いませんでしたけど、しっかり振ることができた」と、予想以上の結果に自分自身で驚いた。

 ラミレスの故障で4番に座って3試合目での1発。打線を勢いづけ、13安打の猛攻を呼び込んだ。「4番の1発の重み」を証明してみせたが、長野の考えは少し違った。

 長野

 僕はホームランバッターじゃないので。ホームランより、そのあとのタイムリーがよかった。

 4回2死一、三塁からの適時打を満足げに振り返った。「理想の4番はサブローさんです」。ロッテ時代に「つなぎの4番」としてチームを引っ張った大村を理想像にあげた。その大村から、こう絶賛された。「体の近くでバットが回っている。腰で打てるから詰まり気味でもボールが飛ぶ。僕が何年もかけてやってきたことが2年目でできている。彼はすごい選手。いい4番になる」。

 現役時代の原監督、昨年49発のラミレス、OBの松井秀喜(現アスレチックス)らはホームラン量産の王貞治タイプとすれば、長野は、1発もあって好機に強い長嶋茂雄タイプともいえる。もちろん、偉大な先輩に少しでも近づくには、継続して成績を残していかないといけない。「責任は重いですけど、意識しないようにやってます」と平常心を強調。この日も、試合後に室内のブルペンでスイングチェックを行い、毎日のルーティンを欠かさなかった。

 守備でもみせた。4回、畠山の右中間の打球を横っ跳びのスーパーキャッチ。こぼれそうになったボールを逃さなかった。攻守でヤクルト戦連敗ストップに貢献し、原監督も「見事ですね。守りにおいても、当然攻撃においても、ランナーに出ても成長といいますか、高いステージに上げても動じずに素晴らしいプレーをしてくれてますね」とほめちぎった。2年目のジンクスなんて関係ない。巨人の4番を十分に張れる、長野の底力を見た。【斎藤庸裕】