右肩痛でリハビリ中の阪神一二三慎太投手(19)が野手に転向することが11日、分かった。昨季は実戦登板のないまま1年目を終えた。故障している右肩の回復が芳しくないこともあり、球団との話し合いで野手転向を決断した。外野手登録になるとみられ、今日12日から西宮市の鳴尾浜で行われる1年目の選手と育成選手による強化自主トレで、「打者一二三」として始動する。

 10年ドラフト2位で入団した一二三は、昨年2月の安芸キャンプ中に右肩痛を発症。シーズン後には手術も検討したが見送った。同12月中旬にMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受け、トレーナーらと話し合い、最終的に野手として再スタートする決断を下した。

 東海大相模では3年春夏連続で甲子園に出場した。通算6試合に登板し4勝2敗、防御率5・07。同時に打者としても甲子園通算25打数15安打5打点、打率6割。夏の2回戦水城(茨城)戦では、左越え本塁打も記録するなど好成績を残し、高い評価を受けていた。

 外野手の世代交代はチームの課題。ドラフト1位伊藤隼太外野手(22=慶大)や捕手登録ながら昨シーズン中から外野手に挑戦している中谷ら有望株が多い。激しい若手の競争に、加わることになりそうだ。一二三は「もうピッチャーに未練はない。野手でやるってなっているのに、ピッチャーのことを言ったら失礼。ピッチャーは無理だけど、野手ならリハビリしながらやっていけると思う。去年は何もできなかった。もう自分が野手って決まった。今年1年は野球に没頭したい」と意気込んでいる。

 ◆一二三の打撃

 東海大相模3年時に出場した甲子園では5番を打ち、春夏通算25打数15安打(打率6割)をマークした。センバツは自由ケ丘戦で初戦敗退も4打数3安打。準優勝した夏の大会では2回戦の水城戦、準決勝の成田戦で各4安打を放つなど5試合で21打数12安打、1本塁打。

 ◆投手登録後の野手転向例

 “打撃の神様”川上哲治(巨人)らがいる。甲子園優勝投手では元ロッテ愛甲猛(横浜)元横浜畠山準(池田)と元楽天吉岡雄二(帝京)。同準優勝投手では元ダイエー大越基(仙台育英)ら。現役では広島石井、嶋、日本ハム糸井、ヤクルト雄平ら。“世界の本塁打王”王貞治(巨人)も入団後の転向組だ。