<オープン戦:巨人3-8広島>◇18日◇サンマリン宮崎
名刺代わりの本塁打だ。巨人村田修一内野手(31)が18日、広島とのオープン戦で本塁打を含む3安打、2打点デビューを決めた。1回の「巨人初打席」に中前適時打を放つと、先頭で迎えた4回の第2打席、広島池ノ内の直球を左翼席へ運んだ。6回には右前打で猛打賞達成。ドカンとかまして、つないで。無敵ジャイアンツ元年の打線にビシッと軸が入った。
「グータッチは初めてでした」と武骨な村田がちょっぴり照れた。4回の第2打席。おいしい真ん中直球。どぎついライナーで左翼席に刺した。「正直出来過ぎ」と思いながら、うつむいてベースを回った。望んで飛び込んだ新天地での初本塁打。原監督との「拳の抱擁」は格別だった。
感謝の気持ちが詰まった3本だ。中前、左越え、右前。広角に打ち分けた。どれも両脇を締め、上腕と前腕を90度に曲げ、力の最も入る状態をキープして、コンパクトな軸回転で打った。本塁打は「風がなくても入る感触はあった。押しが利いた」と言った。横浜時代、強振すると右手が離れ、左手1本で引っかけたり、空振りする姿が目立った。だがこの日、村田の両手は最後まで、バットに添えられたままだった。
バットを左手に持ち、右手でハイタッチした。実は左利きというルーツは、案外知られていない。「左利き右打ち」はごく少数派で、他に中日山崎、巨人坂本がいる。「小学校入学まで左利き。親に右に変えさせられたんですが、今は感謝しています。右投げ左打ちについて、他の人のことは何ともいえない。でも自分は、右打者としてのプライドがある」と明かした。厳格な両親が将来を思い、一生懸命矯正してくれた。左腕のリード、たたみ方が巧みなのは天賦の才。そこに右腕を添え、ひと押しとバットコントロールを加えた。
謙虚に右手を添えることが出来たのは、頼もしい仲間がいるからだった。「最初はランナーをかえすこと。先頭の4回は大きいのを打っていいかな、と。6回はつなげる意識で。打つ方向を決めていた」と、状況判断通りの打撃をした。「阿部さんが前にいる。後ろには小笠原さんがいる。1人でかえす意識は持たなくていいので」とまた感謝だった。打席に入る前、右腰をポンポンとたたく好調時のサインがこの日も出た。前後の強打者を信頼し、軸足にどっしり体重を乗せて。力みなく「巨人村田」の船出が出来た。
「集中していた。引き締まった。僕の打撃は変わらない」と風格を漂わせて終わった。原監督は「精度を高めていってほしい。しかし、あんまりね。村田修一ですから」と、そんなに騒ぐなとばかりに言った。求める像は高い。宮崎で技術の下地は出来た。ここに球界屈指の卓越した読みを加えていく。「期待して下さい」と村田。監督の期待値まで自分を磨き上げ開幕を迎える。【宮下敬至】



