<DeNA0-2広島>◇6日◇横浜

 DeNA中畑清監督(58)の目は真っ赤だった。会見場に設置されたテレビモニターには、広島前田健のヒーローインタビューが映し出されていた。それを見ながら、あらためて悔しさが込み上げてきた。「3連敗の3つ目に記録に残る結果を生んでしまった。1、2番はマエケンとの相性を考えて決めたが、効果を示せず、私も完敗です」と、サバサバした口調と対照的に表情はこわばっていた。

 2試合連続無得点で迎えた広島戦を前に、打順の大幅変更に踏み切った。4、5日の中日2連戦で合計5安打無得点。オープン戦から実践してきた、足を絡めた「せこいぜ野球」の片りんも見せられなかった。昨季、前田健に相性の良かった金城、藤田を起用し、新チームを象徴する「1番梶谷、2番石川」を入れ替えた。

 試合前「2ストライクに追い込まれる前、ストライクを取りにくるボールを打つ」と指示を出した。だが140キロ台後半の直球、キレのあるスライダー、タイミングを外すチェンジアップとどの球も精度が高く、ファーストストライクにバットが出なかった。セーフティーやバスターの構えで揺さぶることもなかったが、高木ヘッドコーチは「そんな小手先が通じる投手じゃない。手が出なかった」と脱帽するしかなかった。

 中畑監督は巨人時代に、中日近藤真一から無安打無得点を達成されたが、その年に優勝した経験を持つ。「すべていい経験なんだよ。上を向くしかない。1年間戦った後に素晴らしい体験をしたと思えればいい」と、真正面から受け止めて肥やしにするつもりだ。「これじゃあ『寒いぜ』で終わっちゃう。熱いところを見せてファンの期待に応えたい」と、最後はキヨシ節で巻き返しを誓った。【鳥谷越直子】

 ▼DeNAのノーヒットノーラン負けは、横浜時代の00年4月7日バンチ(中日)に喫して以来、12年ぶり。これで09年6月以来の3試合連続完封負けとなったが、この3試合の安打は2本、3本、0本とわずか5本。過去、セ・リーグで3試合の合計最少安打は56年8月9~12日国鉄、71年5月29日~6月1日中日の6本で、DeNAの5本はセ・リーグワースト記録となった。