<阪神8-2広島>◇12日◇京セラドーム大阪

 トンネルを抜けると、新井祭りだった!

 阪神が、今季2度目となる新井兄弟アベック弾で、8連敗、甲子園以外で15連敗、さらには広島戦の7連敗という泥沼から脱出した。3回に弟良太が、4試合目にして4番初打点となる勝ち越し7号2ラン。さらに6回には兄貴浩に6号3ランが飛び出した。7試合ぶりに「1得点の壁」を突き破り、前日11日に和田豊監督(49)から「責任」発言が出るなど、追い込まれていたトラをよみがえらせた。

 新井良の打球が、きれいな放物線を描いて左翼席に飛び込んだ。今季4試合目にして放った「4番1号」が、勝負を決める勝ち越し7号2ランとなった。連敗を8で止める貴重な1発。2ボールからの直球を捉えての1発に「真っすぐをしっかり狙っていた」と力を込めた。

 兄貴浩も続いた。6回に、7月29日DeNA戦(甲子園)以来の6号3ランを放ち、同日以来今季2度目の兄弟アーチを記録し「良太はナイスバッティングやったね」と目を細めた。

 新井良は9日巨人戦(東京ドーム)で初めて4番に入ってから、前日までの3試合で12打数1安打と振るわず、好機でも何度も凡退していた。「自分は4番目の打者と思っている。これが普通です。今までが良すぎたんです」。お立ち台では「辛抱強く使っていただいた監督と、いつも声を掛けてくれたコーチの方々に感謝しています」と感謝の言葉を並べた。

 試合前、和田監督に声を掛けられた。「4番じゃなくて、4番目なんだからリラックスしていけ」。持ち前の思い切りが力みに変わっていた新井良には、最高の特効薬だった。1発が効いての連敗ストップに、和田監督は「当たれば、あそこまで飛ばすパワーがある。これが続いていくと本物。得点圏であと1本が出なかったけど、良太が火をつけてくれた。きっかけになる試合がこれまでもあったけど、今回だけは逃さないようにしたい」とたたえていた。

 ただ、1勝で喜んではいられない。新井良は「明後日からどうなるか分からないから、しっかり準備していくだけです」と前を見据えた。借金18の厳しい状況に変わりはないが、兄と力を合わせ戦っていくしかない。

 ▼新井良が7号、新井貴が6号を放ち、7月29日DeNA戦に次いで2度目の兄弟アベックアーチ。これまで同一球団の兄弟がそろって本塁打は新井兄弟を含め3組いるが、近鉄の加藤春雄、政一兄弟は50年の1度だけ。2度以上は78~81年に通算28度記録したロッテのリー、レオン兄弟に次いで2組目だ。弟の良太は4番で初の1発となり、兄の貴浩も今季4番で4本塁打。同一シーズンに4番で本塁打を打った兄弟は87年のリー、レオン以来で、リーはロッテの4番で2本。レオンはヤクルトの4番で2本記録した。