「真剣」で真剣勝負!?

 阪神に若手育成の特別講師として招かれた心身統一合氣道会・渡辺富夫師範(65)が28日、秋季練習で本格的な指導を始めた。甲子園の室内練習場で木剣を持ち、小宮山と向き合う。「バチッ!

 バチッ!」と振り払う、乾いた衝撃音が周囲に響き渡った。

 時代劇さながらの珍しい光景に、周囲も思わず注目した。渡辺師範は「心が鎮まっていると木剣ではたいても(元の位置に)すぐに戻る。心が鎮まっていると速い球にも押し返されない。昔に王さんがやっていた練習です」と説明した。打撃で立ち遅れないためにも、心の持ちようが重要だ。王貞治氏が現役時代に日本刀を用いて素振りをして、1本足打法を確立したエピソードはあまりにも有名。若虎にも「王イズム」を注入した。

 仰天プランも浮上した。渡辺師範は高知・安芸での秋季キャンプに第2クールまで同行する。指導期間中に日本刀を用いたトレーニングも検討しているという。「水に浸したわらを切る。理屈よりも(わらを)目の前にして日本刀を構えて。2本くらい(わらを)切らせて、打撃をさせると、ゴチャゴチャ言わなくても、スッと変わる。心を鎮めないと、わらの間を(刀が)抜けませんから」。ロッテでも95年に日本刀トレーニングを行っており、阪神でも実現する可能性は十分。レギュラー定着を目指す上本や大和、伊藤隼や中谷ら期待の若手が真剣でわらに斬り込む!?

 渡辺師範は「心の領域まで踏み込まないと一流になれない。人を相手にしているうちは本物になれない」と力説する。異次元の鍛錬は、若虎が正真正銘のサムライになるためのヒントになりそうだ。【酒井俊作】