楽天がヤンキースからFAとなっているケーシー・マギー内野手(30)と入団合意に達したことが20日、分かった。メディカルチェックを経て発表される。同内野手は巨人と合意寸前だったが、土壇場で逆転。日本一球団を向こうに粘り腰の交渉で“大金星”を挙げた。メジャー通算434本塁打のアンドリュー・ジョーンズ外野手(35)に続き、今季ヤ軍でプレーした大物のダブル補強に成功した。

 まさか、まさかの大逆転劇だ。楽天が球界の盟主たる巨人を相手に、メジャー通算61本塁打の強打者マギーを巡る争奪戦を制した。米球界関係者の話を総合すると、1年150万ドル(約1億2000万円)前後の攻防で、巨人の方がオファー金額は上回っていた可能性が高い。楽天は早くからマギーを獲得候補には挙げていたが、メジャーを含む他球団との競合は必至。「予算的に厳しいだろう」(球団幹部)と劣勢を覚悟していた。

 逆転の決め手は出場機会だった。本職は三塁手のマギーだが、巨人には村田が控える。一塁にまわっても、阿部や小笠原らとの併用も考えられる。その点、楽天の三塁は今季レギュラーに定着したばかりの銀次。一塁にまわっても、現時点でレギュラーは未定でチャンスは多い。マギーはカブス傘下のマイナー時代、3Aで好成績を残しても、メジャーに不動の三塁手アラミス・ラミレスが在籍。昇格の目はなかった。定位置への強い思いをくんだ楽天が、現在のチーム事情を粘り強く伝え、巨人との金額差を埋めることに成功した。

 既に契約合意が発表されたジョーンズに続き、2人目の野手獲得となる。今季は12球団最少の52本塁打に終わり、星野監督も「4番、5番がいない」と嘆いていた。だが、これで「4番ジョーンズ」「5番マギー」のヤ軍コンビによるクリーンアップが可能となった。2人合わせてメジャー通算495本塁打、1572打点、2409安打。一気に破壊力満点の打線が組める。聖沢、鉄平、銀次ら主力には左打者が多く、ジョーンズ、マギーと右の強打者加入で打線の厚みが増す。

 今オフ、三木谷オーナーは「来年、優勝できる戦力を整えられるように、できるだけやっている」と話していた。ジョーンズにかけた総額3億円とあわせ、4億円以上を投資。有言実行で、3年目を迎える星野楽天の陣容がほぼ固まった。

 ◆ケーシー・マギー

 1982年10月12日、米カリフォルニア州出身。フレズノ州立大から03年ドラフト10巡目でカブス入り。マイナー時代は3度オールスター戦に出場し、08年初昇格。同オフにブルワーズに移籍し、09年からメジャーに定着。9月に新人月間MVPに輝くなど、両リーグ新人1位の66打点で新人王得票5位。10年は8月に球団記録の9打数連続安打をマークし、地元記者による球団MVPに輝いた。11年オフ、ブ軍のアラミス・ラミレス獲得に押し出され、パイレーツに放出された。今季は7月にヤンキース移籍。故障したロドリゲス、テシェイラの代役を務めた。一塁で96試合、二塁で23試合の出場歴もある。マイナー時代は捕手も経験。185センチ、99キロ。右投げ右打ち。家族は夫人と1男1女。今季年俸253万7500ドル(約2億300万円)。