右肩の不安を抱え、WBC日本代表から落選した中日浅尾拓也投手(28)が開幕ピンチであることが26日、分かった。球団はこの日、精密検査の結果「右肩関節腱板(けんばん)損傷」と診断されたと発表した。長期離脱を強いられた昨季の故障箇所と同じ。投手の命ともいえる「肩」だけに予断を許さない。

 やはり事態は深刻だった。右肩の張りで名古屋に戻っていた浅尾が、「右肩関節腱板損傷」と診断された。今月23、25日と2度、名古屋市内の病院でMRI検査などの精密検査を受けて詳細が判明した。くしくも長期離脱を強いられた昨季の故障箇所と同じで、まったく同じ診断名だった。

 20日にWBC日本代表メンバーから漏れ、翌21日に合宿地の宮崎から名古屋に戻った。その後はノースロー調整を続け、25日には50メートルのキャッチボールを開始。本人の感覚では痛みは和らいでいるという。今後は3月4日に再検査を受ける。それまでは状態を見ながらキャッチボールなどを続行。再検査で炎症がおさまっていれば、遠投など次のステップに進む予定だ。

 藤田チーフトレーナーは「キャッチボールも始めているし、3月に立ち投げはできるんじゃないか」と見通しを示したが、当然のように開幕メンバーの1人として考えていた首脳陣の表情はこわばっていた。今中投手コーチは「(4日の再検査で)炎症がひどくなっていたら話にならない。(開幕不在の可能性も)もちろんある」と最悪の事態を想定。昨季、苦しんでいる姿を2軍で見ているだけに「本人の意思だけに任せておけば、去年と同じになる」と慎重だ。

 高木監督は「聞いたけど分からん」と、この話題には触れたくない様子。慣れないWBC球でハイペース調整を続けてきた負担も大きいとみられる。投手の命ともいえる「肩」だけに予断を許さない。

 ◆昨年の故障VTR

 浅尾は昨年、開幕から21試合で5度の救援失敗。5月14日に出場選手登録を抹消された。同26日ウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦(雁の巣)に登板後、右肩の異変を訴え、福岡市内の病院で「右肩関節炎」と診断された。同29日に名古屋市内の病院で精密検査を受けた結果、「右肩関節腱板損傷」と診断された。長期離脱を強いられ、1軍に復帰したのはシーズン終盤、9月17日の巨人戦(ナゴヤドーム)。4カ月間も離脱した。