<ヤクルト3-2DeNA>◇10日◇秋田

 マウンドでDeNA大田が顔色をなくした。4四球でのサヨナラ押し出し負けだ。「ランナー二塁からはヒットも許せない。厳しいコースを狙ったのが裏目に出た」と、悪夢を振り返った。友利投手コーチも「阿斗里(大田)と腹を据えて心中するしかなかった」と疲れた表情で言った。

 守りきれない。いや勝ちきれない。中畑清監督(59)は嘆いた。「追いついてくれたが、ワンチャンスをものにできない。悔いを残す。打ち勝ってものにしないと」。9連敗のうち勝ち越しながら逆転されたのが4試合ある。1点差が4試合で2点差が2試合。得点は42で1試合平均4・7だから悪くない。守れないなら打つしかない。

 中畑監督は9日の移動日に「守り勝つ野球と言ってきたけど理想論。今年はできないかもしれない。どこにも負けない攻撃力を出していく。打ち勝つ野球をする」と方針を転換した。その試金石が、乗っているルーキー小川を打ち崩して連敗地獄から脱することだった。ブランコが土壇場の9回2死一塁から32号同点2ランを放った。マウンドから降ろすことはできたが、やはりそこまで。11回の1死一、三塁では無得点に終わった。

 終盤で追い上げ、あと一歩の敗戦が続く。「善戦じゃダメなんだ。勝ちきりたいんだ」と中畑監督は、この連敗中に何度か言った。これで最下位まで0・5ゲーム差。8月1日までは3位だった。わずか9日。今日11日、ヤクルトに敗れれば7月14日以来の最下位に転落する。中畑監督は「明日、何とか食い止める。絶対に食い止めます」と声を振り絞った。【矢後洋一】

 ▼DeNAが10年6月以来の9連敗。この日は11回から登板した大田が4四球を与えてサヨナラ負け。安打や失策の走者がなく、4四球だけで押し出しのサヨナラ負けは、06年8月18日阪神がヤクルト戦で記録して以来、7年ぶり。前回はウィリアムスが四球、四球、一ギ、三振、四球で2死満塁とし、最後は青木に押し出し四球だった。