<西武5-9ソフトバンク>◇13日◇西武ドーム

 4番が決めた。ソフトバンク松田宣浩内野手(30)が16号2ランで4時間36分の死闘にケリをつけた。5-5の8回2死三塁だ。フルカウントから増田の外角高めの速球をパワーで逆方向の右翼席へ運んだ。「カウント3-2だったので甘い球だけに絞って集中していた。打った瞬間行ったと思いました」。増田からは3日にも本拠地で同じカットボールを逆転2ラン。「軌道は分かっている」と目の底に焼き付いていた球筋をイメージし、腕が最も伸びる得意ポイントで仕留めた。

 2回までに涌井から5点を先取しながら、寺原が右膝違和感で3回途中4失点で降板するアクシデント。4回には5点のリードがすべて消えた。3回以降、打線は無得点。重苦しさを打開しようと、松田も6回には三遊間へのゴロを全力疾走で内野安打にした。そして8回、4番の一振りでベンチの空気は一変。江川と代打田上も適時二塁打で続き、スコアボードに「4」を刻んで、試合を決めた。

 試合前の松田は「ひこにゃん、負けちゃいましたね」と彦根市の人気キャラクターを持ち出し、寂しそうだった。地元滋賀代表の彦根東が反撃実らず、夏の甲子園で初戦敗退していた。出身校ではないが、オフには地元小学校で「臨時教師」を務め、イベントにも積極的に顔を出すなど故郷への思い入れは強い。テレビで泣き崩れる“後輩”を見て感じた思いも少しだけバットに力を加えた。

 秋山監督は「1発が大きかった。5点ももらって、こんな展開になるとは思わん」とぐったりだが、西武3連戦の初戦を制した。3連勝なら逆転で3位浮上も可能。正念場の8月に月別最多の5本塁打目と、反攻に欠かせない男、松田が乗ってきた。「勝つのと負けるのでは違うゲーム。勝ててチームとして大きい。ホークスは1戦1戦勝つしない。一丸となって勝ちたい」。打球に負けない、力強い言葉だ。【押谷謙爾】