<日本ハム1-5ロッテ>◇27日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、プロ初黒星を喫した。27日のロッテ戦(札幌ドーム)に先発し、1回に井口に3ラン、角中にソロと2本の本塁打を浴び4失点。その後は立ち直り、志願してマウンドに上がった7回は3者凡退に仕留めたが、自己ワーストタイとなる5失点。昨年5月の投手デビューから17試合目の登板で初めて、土がついた。チームも開幕からロッテに6連敗、借金は今季最多の4になった。

 意地があった。終われなかった。6回降板後、大谷は続投を直訴した。「どうしてもいきたいです」。鈴木を遊ゴロに仕留めると、初回に3ランを打たれた井口を、この日最速155キロ直球で3球三振。続くサブローも連続三振に切って取った。「いきたいと言ってマウンドに行ったので、3人で終わりたかった。次(の対戦)の印象も大事なので」。結果的には7回9安打でワーストタイの5失点。だがプロ初黒星にはローテ投手としてのプライドがにじんでいた。

 立ち上がりに課題を残した。1回、伊志嶺、鈴木に連打を浴びて無死一、二塁とされると、井口にはフォークを制球ミスし、左翼席中段まで運ばれた。1死後、角中にも1発を食らい、初めての1イニング2被弾。「腕が振れていなくて、キレがなかった。(試合前の)ブルペンでは感じなかったけど、体がキレてなかった感じ」。前回登板とは違い、序盤から変化球を多めに交ぜたが、特にその変化球で腕がゆるんだ。

 4月3日のソフトバンク戦も初回、同12日の西武戦でも2回に失点し、先制を許した。エンジンがかかるまでに、時間がかかる。「今日はいろいろよくなかった。でもそういうときにできる部分はある。後半のように投げられれば。すごく勉強になったのでよかったです」。敗戦の中でも、前を向いた。実は7回が終わったときにも、再び続投を志願した。球数は117球。「そこはおとこ気を見せるところではない」(厚沢投手コーチ)とたしなめられた。

 前回登板から中6日、合間で野手で2試合に出場した。目指してきた、投打「二刀流」の基本スタイル。栗山監督は「見ての通り。やられるならああいう形だと思っていた。(敗因は)技術的なもの」と厳しい評価だが、初めての中6日での登板について「それは関係ない」と一蹴した。

 コンディションに問題がなければ、次回も中6日で5月4日オリックス戦(札幌ドーム)に向かう予定。明日29日からの西武3連戦(西武ドーム)では、野手での出場が見込まれる。大谷は「個人的(な黒星)には(意識は)ないけど、チームは3タテを食らってるし、ロッテにも勝ってないので勝ちたかった」。悔しさはバットでも晴らすことができる。球界で大谷しか持ち得ない武器がある。【本間翼】

 ▼デビュー5連勝中だった大谷がプロ初黒星。これまで先発した14試合ではリードを許して3度降板していたが、味方が逆転して黒星を免れていた。1試合9安打、2本塁打、5失点はワーストタイ。1イニング2被弾は初めてで、1イニング4失点は13年7月30日ロッテ戦の5失点以来2度目。奪三振は9で今季通算28。規定投球回未満ながら(1)金子(オ)57(2)則本(楽)34(3)岸(西)31に次ぐリーグ4位に浮上した。