<西武3-8日本ハム>◇3日◇県営大宮

 日本ハム小谷野栄一内野手(33)が3戦連続の適時打で勝利を呼び込んだ。2点を追う7回2死一、二塁から代打で登場し、右翼線に同点とする2点適時二塁打。その後のミランダの勝ち越し打をお膳立てした。故障から復帰後、3試合で4打点。10年の打点王が持ち前の勝負強さを発揮し、カード勝ち越し、5割復帰に大きく貢献した。

 集中力は極限に達していた。一振りで決めた。小谷野が3夜連続で存在感を発揮した。7回2死一、二塁。「甘いところを一発で仕留めようと思ってました」。カウント2-1からの4球目。やや外角低めの136キロ直球に反応し同点の2点適時二塁打。その後、逆転となる4点目のホームを踏んでベンチへ戻ると、知った。「こういう後輩の記念の日に打てて良かった」。直系の後輩のプロ初勝利をアシストした。

 創価-創価大と同じ道をたどってきた大塚が節目の白星を挙げた。入団直後に右肘を手術するなど、苦しんできたのは知っている。どん底からはい上がり、ようやく5年目の今季、初の開幕1軍入りも祝福はしなかった。

 小谷野

 遅すぎるよ。オレは(大塚)ユタカが力があるのは知っているからね。ここ(開幕1軍)に残ることが目標なら祝うけど、ここからがスタートでしょ。1年間、しっかりやったら、何か考えてもいいよ。後輩には厳しいから。

 成長は実感していた。右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で2軍調整中も1軍で奮闘する姿を見た。少しずつ殻を破ろうとしていた。この日も目の前で力投を見た。祈った。「何とか勝つように。自分のことのように」。思いは通じた。

 2人の高校の先輩にあたる栗山監督もうれしそうだった。試合前から小雨が降る悪条件。故障明けの小谷野は使うつもりはなかったが、勝負どころで投入した。「難しいケースで、よく打ってくれた」と称賛した。前夜のサヨナラ負けの悪夢を振り払うには、うってつけのメモリアルゲームだった。【木下大輔】