ゴメスが球団史上初の快挙に挑戦!

 阪神マウロ・ゴメス内野手(29)が17日、後半戦もフル参戦のシーズン全試合出場を目指す心境を明かした。2月キャンプで出遅れるも開幕後は不安を一掃し、前半戦は全84試合で4番を張った。来日1年目の外国人が全試合4番に入れば阪神で初めて。首位巨人を猛追する阪神打線、その軸は不動だ。

 発車ベルが鳴り響く名古屋駅のホームで、ゴメスは口を開いた。かたわらには来日したばかりの愛妻と長女がいた。前半戦は全84試合に先発出場。その手応えを問うと自ら1つの目標を口にした。

 「ここまで全試合に出られているのは、自分でもよくできていると思うよ。(後半戦も)全試合に出られるように頑張るだけさ」

 前半戦の充実感がにじみ出る。主砲が自ら語った「全試合出場」には、とてつもない重みがある。ここまで打率2割9分2厘、16本塁打。71打点はリーグ2位の好成績だ。十分な手応えを得て前半戦をターン。この日から、つかの間の夏休みで英気を養う。阪神の来日1年目の助っ人でシーズン全試合出場を果たしたのは3人いるが、4番でフル先発した選手はいない。ゴメスが主軸をまっとうすれば、球団史上初の快挙だ。

 開幕前の予想をはるかに上回る活躍は、球団の「ゴメス・プロジェクト」が奏功した結果だ。2月、夫人の出産でキャンプインに間に合わず、体調不良、右足の張りも重なり、初実戦は3月中旬にずれ込んだ。開幕に向けて、調整不足は否めない。そこで球団が立てた方針は、ゴメスのトレーニング管理だった。権田トレーナーは説明する。

 「6、7月くらいまでトレーナーがプロジェクトを組んで、トレーニングやコンディショニングを定期的に行いました。あまり(筋トレの)習慣がなかったけど、マートンも言ってくれる。僕は5月が(疲労の)ヤマだと思っていた」

 開幕後も甲子園だけでなく、遠征先のホテルでもトレーニングに励んだ。権田トレーナーは「144試合出るためにはやらないといけないよ」と諭した。率先して筋力トレーニングを行うマートンも良き手本だ。試合前練習でも体幹強化のメニューなどに取り組む。トレーニングの習慣化が、全試合出場の背景にある。

 7月、そして8月は猛暑が待つ。同トレーナーも「次は8月。何とか乗り越えてくれれば」と言う。阪神にとっては、金本知憲の引退後、長く待ち望んだ「不動の4番」。後半戦もゴメスがドッシリ4番に座れば、覇権奪回の道も見えてくる。【酒井俊作】

 ▼阪神ゴメスがシーズン全試合に出場すれば、阪神の来日1年目外国人としては10年マートン以来4人目となる。全試合に4番で先発出場すれば、09年金本以来5人目、12度目。来日1年目外国人が全試合に4番で先発出場すれば、球団史上初となる。