広島横山竜士投手(38)が21日、現役引退を発表した。マツダスタジアムで会見を開き「体がついてこなくなった」と20年にわたるプロ生活の区切りをつけた。94年に福井商からドラフト5位で広島に入団。150キロを超える速球を武器に、97年は自己最多10勝をマーク。右肩故障後も中継ぎで復活した。近年は登板機会は減り、今季もここまで6試合にとどまっていた。チームは終盤の逆転劇で96年以来の70勝に到達した。

 会見場に飾られた赤いガーベラも、去りゆく右腕をねぎらっていた。「誇れることは特にないですが、やり残したこともありません。幸せな野球人生でした」。晴れやかな表情で横山は振り返った。

 引退を決めたのは「体がついてこなくなった」から。「毎朝起きるたびに体調が違う。肩が痛かったりで。毎日同じ投球ができなくなっていました」。8月12日に今季2度目の1軍昇格を果たし、同17日の巨人戦で1回をゼロに抑えて初勝利も挙げた。だが「次に登録を抹消されたときがユニホームを脱ぐとき」と決めていた。8月25日がその日だった。9月上旬に球団に引退を伝えた。

 「プロで一番うれしかったこと」という1軍初勝利は3年目の97年4月20日中日戦(岐阜)。7回から9回まで無失点に抑えた。最速147キロの速球と鋭いカーブ、フォークを交えた投球が真骨頂だった。一方、プロ入りからの2年間は左膝半月板、右肩、腰と故障に苦しんだ。

 「ケガをする前よりもっといいパフォーマンスができるようにと、高い気持ちを持って治療をしていました」。右肩の関節が外れやすい状態を抱え、00年3月に右肩を脱臼。右肩に風が当たることすら恐れ、歩くときも風向きを気にした。11年3月に腰部ガングリオン(結節腫)切除の手術も受け、長いリハビリと向き合った。

 昨年はチェンジアップも覚え、10月2日阪神戦で通算500試合登板も達成。「直球で勝負できる、三振を取れる投手になりたいと思ってやってきました」。自身の武器を生かす、引き出しを増やす努力も怠らなかった。

 チームが本拠地初のクライマックスシリーズ開催に向けて戦っているため、1軍での登板機会は未定。今日22日からのウエスタン・リーグ、ソフトバンク2連戦(由宇)が2軍最後の勇姿になる。【堀まどか】

 ◆横山竜士(よこやま・りゅうじ)1976年(昭51)6月11日、福井県生まれ。福井商から94年ドラフト5位で広島入団。3年目の97年4月13日横浜戦(横浜)でプロ初登板。同年リリーフに定着し10勝。通算507試合登板は球団5位、通算133ホールドポイントは球団最多。178センチ、85キロ。右投げ右打ち。