阪神西岡剛内野手(30)が7日、兵庫・西宮市内のグラウンドで日本ハム中田らとの合同自主トレを公開した。昨年11月の右肘を手術後初めてキャッチボールなどを披露。2月キャンプに向け超回復をアピールした。海外FA宣言した鳥谷敬内野手(33)の動向次第で外野転向案も出ているが、あくまで二遊間でレギュラー奪取を目指す構え。「試合に出られないなら控え」と退路を断つ。

 不退転の決意がにじむ始動だった。15年のスタートで西岡は笑顔であふれていた。元気なロッテ江村をいじっては大笑い。その表情が一変したのは、今季の守備位置について問われたときだ。迷いはない。語気を強めて胸中を吐露した。

 「まずは、セカンドでという自分の気持ちを持っている。僕のなかで二遊間で勝負して試合に出られないなら控えでもいいくらい強い気持ちを持っている。外野用のグラブを用意していないし、する気もない。心のなかでは、控えでやるつもりはさらさらない」

 自ら置かれた境遇に真正面からぶつかっていく。昨季は開幕直後の巨人戦で福留と交錯して肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷で長期離脱。その間に出場した上本が二塁のレギュラーをつかんだ。自ら手放してしまったポジションは自ら奪い返す。そんな気概にあふれる。鳥谷がメジャー移籍した場合、大和に遊撃を守らせ、西岡の中堅コンバート案も出るが、あくまで内野で二塁上本と勝負に挑む。

 「上本は非常にいい選手です。僕がケガをしている間の成績はレギュラーを取るもの。僕もロッテの時に小坂さんや堀さんのどちらかがケガした時に出て、結果を出してレギュラーになった。2月1日からチームメートと勝負していく」

 昨年11月11日に右肘を手術したが、この日のキャッチボールは昨年末よりも10メートル延び、力強い軌道を描いた。ティー打撃でも鋭い打球でネットを揺らす。メスを入れたことすら感じさせない。「非常に順調に来ている。2月1日に試合をできる体作りをしてキャンプに入りたい」。懸念された患部は順調に回復しており、キャンプインから通常メニューをこなせそうだ。

 この日、練習前は球団のリハビリ担当・権田トレーナーに肩や肘の関節可動域検査も受けた。「昨年末の最終チェックよりさらに改善されて、伸ばすことや曲げることは現状問題ない」と同トレーナー。地獄を乗り越えた男は誰よりもタフだ。西宮で体を作った後は米ハワイで追い込んで仕上げる計画もある。西岡は「2015年は僕自身、勝負の年」と言い切る。勝つために、再び栄光をつかむために…。悲壮感はなく、堂々と定位置を狙う。【酒井俊作】

 ◆西岡ポジションを巡る経緯

 昨年11月29日、和田監督は非常時での西岡のセンター起用案について「そういうこともあるということ。考えられる配置だとは思う」と腹案を明かした。西岡は契約更改後の会見で、外野構想は聞いていないとして「内野にこだわっていきたい。二遊間にこだわっていきたい」と強調。