3つのお守りで、1人で寝られるもん!

 楽天のドラフト1位安楽智大投手(18=済美)が10日、仙台市内の泉犬鷲寮に入寮した。昨年9月に67歳で亡くなった済美・上甲正典監督の言葉が書かれた色紙、父晃一さん(53)から贈られたお守り、アザラシのぬいぐるみなどを持ち込んだ。高校時代は1人で寝られないほどの寂しがり屋と言われたが、大切なものに囲まれて心配はなくなった様子。初の寮生活を笑顔でスタートさせた。

 ベッドもカーペットも茶色に統一した落ち着きのある部屋で、安楽がはにかんだ。「ぬいぐるみ、持ってきました」と声が弾んだ。おもむろに枕元に置いたのはアザラシのぬいぐるみ。大阪にある日本屈指の水族館「海遊館」のものだった。「祖母から持って行けって渡されました。毎年帰れなくなるだろうし、記念です」と笑顔で披露した。遠く離れる家族のことを思い返すためのお守りだった。

 初めての寮生活で、周囲からの不安があった。慣れない環境では、なかなか眠れない。済美では県外出身者は寮だが、安楽は家が近く毎日自宅から通っていた。そのためか、高校2年で甲子園に出場した際、宿舎を不安そうに歩き回る姿が報告されていた。当時の3年生部員が「安楽は寂しがり屋。先輩の部屋に来て、1人で眠れないと言うんです」とポロリと漏らしていた。

 堂々としたマウンドさばきとは裏腹に、私生活ではシャイな一面がある。そんな疑問をぶつけられると「大丈夫です、1人で寝られます。あの時は先輩の部屋で力尽きちゃっただけです」と“お泊まり”の事実を照れくさそうに釈明した。

 新生活で、ぐっすり眠る。そのためのお守りはぬいぐるみだけではない。2つ目は上甲監督の金言だ。朱色の手形の上に「奇跡は小さな努力の積み重ねにすぎない」と記された色紙。高校3年の夏の大会後にもらい、「監督さんが常に言っていた言葉。プロでも小さい積み重ねをしていかないと」と気を引き締めた。

 3つ目は父晃一さんからのお守りだ。神戸市内にある弓弦羽神社のもので、勝負ごとの祈願がされて8日に届いたばかり。お守りの袋には「プロ野球選手の息子を持つオヤジにしてくれてありがとう」と感謝の言葉が記されている。

 プロでの活躍を願い渡された愛情あふれる品々に囲まれ、安楽の表情が緩んだ。これさえあれば寒い仙台だって、厳しいプロの世界だって乗り越えられる。「20年間プロで活躍するというのを目指してやっていきたい」。大きな夢を描いて、安心して初めての夜の眠りに落ちた。【島根純】