<札幌6大学野球:道都大1-0東海大北海道>◇第1節初日◇25日◇札幌円山

 道都大が2季連続リーグ制覇へ白星発進した。プロ注目の149キロ右腕・佐藤峻一投手(4年=北見柏陽)が、1部初昇格の東海大北海道を相手に3安打完封した。この日は最速146キロの直球にスプリット、スライダーなど変化球もさえて13奪三振、与四球1と抜群の安定ぶりで三塁を踏ませなかった。チームは1回に挙げた虎の子の1点で逃げ切った。

 打者一巡した5回、佐藤峻のスイッチが入った。この秋から1部昇格した東海大北海道は初めて対戦するチーム。4回までは相手打者の特徴を探るように慎重な投球を見せていたが、7番打者から3者連続三振。8、9番打者は3球ずつで仕留めた。終わってみれば5回以降に11個の三振ラッシュで計13奪三振。128球、散発3安打で三塁を踏ませずに完封した。

 「まずまずでした。ストレートが走ってたし、5回ぐらいから調子が上がってきました」と声を弾ませた。今春リーグでも札幌学院大との開幕戦で3安打、7奪三振の完封を見せたが、この日の投球には成長の跡がうかがえた。春は5回に暴投するなど突然の乱調でたまらず、山本文博監督(56)がベンチを飛び出して行くシーンがあった。この日、山本監督は「ピンチになっても、バタバタしなくなった。安心していられた」と、8回に1度マウンドに確認に行ったのみだった。

 スタンドには西武、中日、広島、ソフトバンク、日本ハム5球団のスカウトが陣取り熱視線を送った。佐藤峻への高評価は変わらなかった。6月の全日本大学選手権(神宮)では1回戦の国際武道大戦で完投勝利。しかし2回戦の創価大戦でフォークやカーブを本塁打された。12日のJR北海道との北海道アマチュア野球王座決定戦でも、社会人選手に打ち込まれた。トップレベルに通用するためには、もっと細かな制球力が必要であることも実感した。

 チームでは40人近い投手陣のなかで模範となっている。自分でメニューを考え、黙々とこなしていく。周りに引きずられることはない。下半身の粘りはそういう日ごろの鍛錬が生んだ。「ラストシーズンなのでとにかく楽しんでやろうと思います」。記録にも快投にもひょうひょうとした感じの佐藤峻だが、2季連続リーグ優勝への手応えを感じ取ったに違いない。【中尾猛】