<WBC強化試合:日本6-1巨人>◇2月28日◇ヤフオクドーム

 明日2日に大会開幕を控えた侍ジャパンを、緊急事態が襲った。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の主将・阿部慎之助捕手(33)が2月28日、右ひざに違和感を訴えて、本番前最後の実戦となる強化試合(巨人戦)を欠場した。今日1日の状態次第では、チームの大黒柱を欠いたまま本番を迎える可能性も出てきた。山本浩二監督(66)は「阿部不在」のケースも覚悟。4番に糸井を据える新オーダーを試し、最後の実戦を6-1の白星で締めくくった。

 大会前最後の強化試合に臨んだ侍ジャパンに、阿部の姿はなかった。前日27日の全体練習で、ウオーミングアップ中に右ひざに違和感を覚えた。一夜明けても痛みが引かなかったため、大事を取った。チーム宿舎で治療に専念した阿部は広報を通じ「今日は大事を取らせてもらいました」と、コメントした。

 調整が遅れている阿部にとって、無念の欠場となった。対外試合での打率は1割に満たず「僕は落ち武者」と、あえて自分自身に厳しい言葉を浴びせて、気合を入れ直したばかり。「大会までに何とかする」と意気込んでいただけに、相当なショックに違いない。

 この日は病院には行かず様子を見たが、今日1日も症状に変化がみられなければ、練習せずに精密検査を受けるとみられる。梨田野手総合コーチが「座ったり立ったりする捕手にとって、ひざは大事」と言うように捕手として開幕戦に出場するのは微妙な状況。DHや一塁の選択肢もあるが、2次ラウンド以降を見据え1次ラウンドは阿部不在で臨む可能性も出てきた。

 山本監督にとっても大きな痛手だ。就任直後から阿部を中心としたチームを作ることを明言し、早々と主将に任命。1月のグアム自主トレにも指揮官自ら足を運んで、信頼関係を深めた。好不調にかかわらず「阿部の4番は不動」を明言し、心中する覚悟を固めていた。

 だが、沈んでばかりもいられない。山本監督はすぐに気持ちを切り替え「待ったなしで(大会は)始まりますので」と、最悪のケースも想定し、この日の巨人戦に臨んだ。先発マスクは相川に任せ、注目の4番には糸井を据えた。糸井は5打数無安打に終わったものの「阿部が出られない時は、こういうオーダーになると思います」と、話した。

 前夜、阿部と夕食をともにしたというベテラン井端は「昨日から『ヤバイかも』と言っていた」と、冷静に受け止めた。ピンチに違いはないが、日本の底力を示すチャンスでもある。「こういう時こそ(若い選手たちが)俺が俺が、となってくれたら。もし阿部がいなくて勝てないようなら、最初から世界一になんてなれない。戻ってくるまでは、このメンバーで。阿部抜きでも1次ラウンドぐらい突破しないと」と、力を込めた。

 この思いは、チーム全員で共有している。主将のいない日本代表は、浮足立つことなく巨人に6-1で快勝。最後の強化試合を白星で締めくくった。開幕直前、侍ジャパンに訪れた大きな試練。逆境を結束力に変え、乗り越えていくしかない。

 ◆追加招集の大会規定

 1次、2次、決勝の各ラウンド前なら、それぞれ故障選手に代わって追加招集を許される。各ラウンド中の交代はできない。投手は投手、野手は野手と入れ替える。ただし捕手の登録が2人以下で捕手が故障した場合に限り各ラウンド中でも次戦から追加招集が可能。離脱選手はケガが回復してもその後の大会には出場できない。