学生の熱気は、すさまじかった。6月28日に大阪・吹田市の関大千里山キャンパスで行われたボクシングの「関西学生リーグ1、2部入れ替え戦」。結果は、2部優勝校の近大が、1部6位で最下位の関学大を破り、来季7年ぶりの1部復帰を決めたのだが、両校代表選手の白熱した戦いぶりに、思わず声が出るほど見入ってしまった。

 学生ボクシングの取材は、この日が初めてだった。ルールは、1チーム9人が階級別に対戦する団体戦。各試合1回3分の3回戦で勝負を決める。短い時間だけに、気を緩ませる瞬間はない。ライトフライ級からミドル級まで、順番にリングに上がる選手の表情は、何とも言えない緊張感に包まれていた。

 注目は、近大に集まっていた。過去に関西リーグ36連覇、全日本大学王座10度獲得した名門校だが、09年に部員の不祥事で廃部に追い込まれた。12年に活動を再開し、ようやくたどりついた舞台。広いとは言えない会場には、多くのOBも詰めかけ、熱気を高めていた。一方の関学大も、1930年(昭5)創部と歴史があり、2010年以降は1部の座を守っていた。ともに、負けられない戦い。地元関西のテレビ局も取材に訪れる中、両チームを応援する大きな声が交錯しあった。

 野球、ラグビー、アメリカンフットボール、駅伝など、人気の大学スポーツは多いが、この日の両校の戦いぶりを見ていると、学生ボクシングの興奮度もかなりのものだ。プロの注目が高い競技は、自然とアマや学生にも興味が及ぶもの。その傾向から言えば、日本人の強い世界王者が増えてきたボクシングも、高校や学生にさらにスポットライトが当たってもおかしくないだろう。

 関西の学生ボクシング界も、OBでタレントの赤井英和総監督率いる近大の復活ストーリー

だけで、ひと区切りつけるのはもったいない。人を引きつける魅力は大いにある。少子化と言えど、各大学のOB、OGは年々増えていくわけだから、母校愛をあおるような企画、アイデアさえあれば、きっと世間の興味も高まっていくはずだ。【木村有三】