体育会で築いた上下関係は、いくつになっても続くもの。角界も土俵の勝負を離れれば、例外ではない。九州場所担当の境川部長(54=元小結両国)と玉垣親方(52=元小結智ノ花)は、ともに日大出身。境川親方が「しんや~」と、玉垣親方の本名で声を掛けると「はい!」と応じるやりとりは、ほほ笑ましく映る。

 2年後輩の玉垣親方は「いくつになってもファーストネームですよ」と笑う。学生時代は昼3時から3時間、東京・阿佐谷の合宿所で一緒に稽古した。「入学時、3年生が教育係で厳しかった」と懐かしがった。

 長崎出身の境川親方と熊本出身の玉垣親方は、他4人の担当親方と場所成功のため尽力した。境川部屋には場所中3日間、四国から場所観戦を兼ねた稽古見学ツアー客を招いた。「他の部屋に迷惑かけられないから」と境川親方。部屋を訪れるファンにも、チケット購入を依頼するなど自称「営業部長」もこなした。そんな努力もあり満員御礼は20年ぶりに13日に届いた。

 いつも一生懸命な先輩を見て、後輩も付いていく。それも学生時代と同じだ。「来てくれた人が相撲の楽しさを伝えてもらって、また来てもらえれば」と玉垣親方。15日間満員御礼実現へ、来年も先輩後輩は力を合わせる。【木村有三】