【米ラスベガス6日(日本時間7日)=奥山将志】WBC世界ミドル級5位村田諒太(29=帝拳)が今日7日(同8日)、プロ8戦目での米国デビューを果たす。ラスベガス市内のホテルで行われた前日計量は、対戦相手の元世界ランカー、ジャクソンとともに1回でパス。相手との距離を、これまでより10センチ遠くし、より強いパンチを打ち込むことを意識してきた。攻撃的なスタイルで「世界」に近づく1歩を踏み出す。

 派手な装飾が施され、ヒップホップの音楽が鳴り響く計量会場。村田は日本とは異なる雰囲気を楽しむように、リラックスした表情で計量器に乗った。リミットを300グラム下回る73・1キロでクリアすると、報道陣の要望に応え、ジャクソンと対面。8センチ身長が低い相手の目をじっと見つめ、最後はがっちりと握手を交わした。プロ8戦目で迎えた米国デビュー戦に「良い試合が見せられると思う」と力強く決意を語った。

 ミドル級の主戦場である米国での試合を意識し、本場仕様のスタイルに取り組んできた。向かい合った相手との距離を、これまでより「10センチぐらい」離れるようにした。米国のジャッジに有効とされる、遠い距離からのジャブで主導権をにぎることが狙いだが、プラス面はそれだけではない。踏み込みが強くなったことで、「一番強いパンチ」と話す右ストレートにもより体重が乗り、最大限にパワーが伝わるようになった。

 拳を交えるジャクソンはプロ31戦でKO負けが1度もない、打たれ強い相手。それでも、村田は「KOを狙う意味がある」と勝ち方にこだわりを示してきた。積極的なファイトが、関係者や目の肥えたファンへのアピールになることは分かっている。そのための10センチだ。「あの距離を最後まで保ちたい。練習通りやれば、結果は付いてくる」と力を込めた。

 陣営の本田明彦会長は「来年は最低でも2試合は米国でやる」と腰を据えて名前を売っていく方針を示した。村田も「この舞台で自分のランクを1つずつ上げていきたい」と思いを口にした。13年8月のプロデビューから約2年2カ月。自ら「第2のデビュー戦」と位置づけたリングで、激戦のミドル級戦線に殴り込みをかける。