08年北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの総合格闘家・石井慧(26=I

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 RHINO)が30日、来年中に米国籍を取得し、同国代表で16年リオデジャネイロ五輪を目指す意向を明かした。今年7月にグリーンカード(永住権)を取得したことが判明。石井は「打倒井上ジャパン」を掲げて日本柔道男子の井上康生監督(34)率いる日本代表にカツを入れる意欲を示した。今夏のロンドン五輪で金メダルゼロに終わった日本男子柔道にとって予想外の「外圧」となりそうだ。

 柔道界で「異端児」と呼ばれた石井らしいやり方だった。大みそかの「INOKI

 BOM-BA-YE」(東京・両国国技館、日刊スポーツ後援)で格闘家としての再起戦を控えた石井は今年7月、米国の永住権を取得していたことを明かした。その上で「二足のわらじ」である柔道家として、元気のない日本男子柔道と対峙(たいじ)する強い意欲を吐露した。

 石井

 ロンドンでの日本柔道はふがいないと思いました。今は(井上)康生さんが監督になりましたが、大丈夫かな、と不安もある。リオ五輪に米国代表として、日本代表と戦いたい。メダルというよりも「打倒日本」「打倒井上ジャパン」でリオに出たい。

 永住権取得後、米国柔道連盟から「弁護士を入れて書類を準備し、1年で国籍が取得できるように協力する」との全面サポートを確約された。来年4月12~13日に米フロリダ州オーランドで開催予定の全米柔道体重別選手権無差別級の出場エントリーを済ませたという。11年全米体重別への初出場時にも「米代表で五輪」を掲げていたが、ここまで具体的な進行状況を明かしたのは初めて。

 国際柔道連盟の規約では国籍変更の場合、1大会は五輪に出られない。しかし石井はロンドン五輪に出場していないため、リオ五輪は米国代表として出場可能。さらに石井は「五輪選考会で100キロ級と100キロ超級の2階級を制し、五輪で2階級同時の金メダリストにもなってみたい」とのビッグプランも口にした。

 日本柔道の重量級は絶対的エースが不在で、その育成を任されたのがライバルだった井上監督だ。石井は07年の100キロ超級転向後、円熟期だった井上と2度激突して2勝無敗。井上の目標だった北京五輪代表の夢を阻み、金メダルを獲得した。

 石井

 米国代表でリオ五輪と打倒井上ジャパン。これができるのは自分だけ。自分ができることは何でもやる。何でもやって「生きたい」と思う。

 ニッポン柔道の大きな壁として立ちはだかる気持ちを高ぶらせた。井上ジャパンにとっては、本当にやっかいな強敵となりそうだ。