ボクシングのロンドン五輪男子ミドル級金メダルで東洋太平洋、日本同級1位・村田諒太(28=三迫)のプロ4戦目が初の10回戦となった。14日、東京都内で記者会見が行われ、5月22日に京都・島津アリーナ京都で、世界ランカーとの対戦経験があるヘスス・ネリオ(24=メキシコ)と対戦することが発表された。4戦連続のKO勝ちを狙って約1カ月の米ラスベガス合宿で右ストレートを強化。世界のトップ戦線に殴り込んでいくことを力強く誓った。

 決意に満ちた表情で会見した村田の目は、もっと先を見ていた。世界の層が厚い激戦のミドル級。初の10回戦、初対戦のメキシカンという難しい試合にも「これぐらいでつまずいていては話にならない。圧倒的に勝ちたい」と堂々と通過点にすぎないと宣言した。

 大きな刺激を受けたばかりだった。前日13日、元6階級制覇王者のパッキャオが世界王者に返り咲いた一戦を映像で見た。舞台は、幼い頃から憧れ続けた米ラスベガス。光り輝くボクシングの聖地に自身の姿を重ね合わせると、言葉には力がこもった。

 「もうちょっとしたら、新しい時代が来ないといけないし、新しいスターも現れないといけない。フロイド(WBC世界ウエルター級王者メイウェザー)、パッキャオの時代が終わったら(次は)誰になるのだろうと思った時に、自分もそこに殴り込みをかけられるようにしたい」

 帝拳ジムの浜田代表はここまでのプロ3戦を「予想以上の成長ぶり」と評価する。3戦目には、上半身を柔らかく使うポイントを習得し、豪快な右アッパーでKO勝利をつかみ取るなど、プロの試合を経験するたびに成長してきた。だが一方で、課題も感じ取った。右利きボクサーの原点となる右ストレートだ。

 史上初の5階級制覇を成し遂げたトーマス・ハーンズ、90年代最強の中量級ボクサーとされるフェリックス・トリニダードら名選手の名前を挙げ、「良いボクサーは右ストレートを打ち抜ける。ストレートで倒せるのは魅力」とその重要性を力説。約1カ月の米国合宿では体重を乗せて打ち下ろすフォームを体にたたき込み、「村田のこれをもらったら怖い」というパンチを作り上げる構えだ。

 4戦目の舞台は、高校3年間を過ごした思い出深い京都。第2のふるさとで、世界に殴り込みをかける「村田の右」を見せつける。【奥山将志】

 ◆チケット販売

 WOWOWエキサイトマッチで21日まで先行販売中(チケットぴあのみ)。22日からは一般販売され、チケットぴあ、ローソンチケットで購入可能。アリーナはリングサイドが2万円、アリーナS席が1万円。スタンドはS席が2万円、A席が1万円、B席が5000円。