WBA世界フライ級11位亀田大毅(20=亀田)が、兄興毅手作りの「力水」で、最高の体調に仕上げた。6日、大阪市中央体育館で同級王者デンカオセーン・カオウィチット(33=タイ)に挑戦する。5日、大阪市内で行われた前日計量で、大毅はリミットの50・8キロでパス。計量後に興毅特製の20種類のサプリメントを配合した2種類のドリンクを飲んで栄養補給した。会見でもメンチは切ったが挑発なしと、大人の対応に終始。今回は心身ともに万全で決戦に臨む。

 計量を終えた大毅に「秘密兵器」が用意されていた。兄が東京から持参した約20種類のサプリメントを溶かした特製の2種類のドリンクだった。それぞれ水分補給と栄養補給が目的。興毅が9月5日の試合で飲んで効果があったという。「企業秘密」と興毅は詳細は明かさなかったが「脱水状態やから、まず水分を正常値に戻す。それからビタミンとか、栄養を補給するんや」と説明した。

 もともと減量はきつい。前哨戦では計量当日の朝にリミット53キロを500グラムオーバーした苦い経験がある。今回はさらに2・2キロも絞り込んだ。具体的な体重は明かさなかったが、速やかに体重を戻すため、1週間前から一気に減量した。4日から食事を抜き、室温47度にしたジム内の一室で体を動かした。この日の朝には「(リミットを)アンダーしてた」(大毅)。計量会場への車中でジュースを飲んでリミットまで戻した。最大の難関だった減量の成功に加えて、兄の特製「力水」で最高の体に仕上がった。

 この日は心にもゆとりがあった。会見で大毅がデンカオセーンを挑発することはなかった。写真撮影では自ら右手を差し出した。握手に力を込めて約10秒間、メンチを切ったが「意気込み?

 何を言っても仕方ない」と、亀田節を封印して大人の対応に終始した。

 反則行為で大差判定負けした内藤との世界戦から2年。かつては試合前からほえまくっていた。だが、今回は「減量は思ったよりうまくいった。あとはおれのボクシングをするだけ。そうすれば結果は出る」と静かに決戦の時を迎えようとしている。【浜本卓也】