[ 2014年5月13日11時29分

 紙面から ]W杯日本代表に選ばれ会見する磐田の伊野波(撮影・柴田隆二)

 W杯ブラジル大会日本代表メンバーが12日に発表され、磐田市内で、選出されたJ2磐田の伊野波雅彦(28)が会見した。中2でブラジルに短期留学。ジーコのサッカースクールで、利き足とは逆の左足でのキックを教え込まれ、現在のユーティリティー選手としての原点になった。これで、磐田は5大会連続で代表を輩出した。

 伊野波は浜松市内の自宅で一報を聞き、その後クラブで会見した。「小さいころからの夢だったW杯出場にうれしい気持ちでいっぱい」と心境を明かし「磐田でW杯出場ができるのは光栄。ジュビロからW杯代表が継続して出ていることを次の世代につなげられてよかった」と話した。

 小3でサッカーを始め中2の春、両親がブラジルでの短期サッカー留学を勧めた。「遠いし、怖いし」と二の足を踏んだが、ジーコ氏の門をたたいた。利き足の右でしか蹴っていなかったが、ジーコ氏から「左足の練習をしろ」と右足禁止で左足ドリブル、キックの練習を延々と続けた。「それがなかったら、今ごろこんなにきれいに左で蹴ることができていなかった」。センターバック、両サイドバック、ボランチと4つの守備的ポジションをこなすユーティリティー性の原点にもなった。

 「世界を目指すには各ポジションで世界基準に」。鹿島時代は、10年W杯日本代表のDF岩政大樹の隣でセンターバックを極め、磐田でも練習でなるべく左足を意識した。さらに持ち味のスピードに磨きをかけるべく「1歩目の速さ」も追求してきた。

 昨季チームはJ2降格、今年はW杯イヤーだったがチームに残った。「チームをJ1に戻すことが優先だったから」。ザッケローニ体制後、常に代表に招集され複数のポジションで結果を残し、J2だがW杯代表の座をつかんだ。ブラジル留学を機に本気でサッカー選手を目指し始め、その土地でのW杯に「何かの縁だと思う」と話す。

 チームにはFW前田遼一(32)DF駒野友一(32)とW杯最終予選をともに戦った仲間がいる。「本当はみんなで一緒に行きたかったですけど、その分、自分の決意をもってやっていく必要がある」。日の丸の重みを背負いブラジルに向かう覚悟だ。【岩田千代巳】<磐田の過去のW杯選出選手>▼98年

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