[ 2014年6月16日8時58分

 紙面から ]落ち着いた優しい声で人混みの渋谷スクランブル交差点をさばいた女性DJポリス

 サッカーW杯ブラジル大会で日本代表の初戦、コートジボワール戦が行われた15日、列島各地のパブリックビューイング(PV)で「ニッポンコール」が沸き起こった。1-2の敗戦にも、東京・渋谷では日本のユニホームを着たサポーターがスクランブル交差点でごった返し、逮捕者も出た。警視庁は800人態勢で周辺を警備。美人DJポリスが登場し、笑顔で人混みの通行を取り仕切った。

 渋谷のサポーターに敗戦の試合結果は関係なかった。機動隊員が“人間バリケード”を作ったが、突破された。若者が次々とスクランブル交差点の真ん中で踊り回った。

 試合が終わった正午すぎからサポーターが集まりだした。JR渋谷駅側とセンター街側に人が滞留。歩行者信号が青になると交差点の中央目がけ、走り、踊り、ハイタッチを繰り返した。赤信号になっても交差点から出ようとしない若者も。車両用の信号が青になっても約45秒間、車が進めなかった。こうした行為は午後1時45分ごろまで続いた。

 18歳女性は「悔しさを晴らすため来た」。宇田川雄一さん(28=会社員)は「下を向かないように、ここに来た」。東山卓也さん(30=会社員)は「交差点で騒ぐのは恒例のこと。ここしかないから」と渋谷に来た理由を語った。

 人混みの誘導に、2人の女性DJポリスが活躍した。「中央の横断歩道はサポーターの方々で大変、混み合っています。お急ぎの方は地下道をご利用下さい」。優しい声に気付き、写真を撮るサポーターもいた。

 1人は機動隊広報班に所属する20代の未婚女性で、3月の機動隊警備広報競技会で表彰された実力者だ。隅田川と東京湾の花火大会や浅草寺でも誘導アナウンスを担当。「渋谷は初めて。明るい笑顔を心がけました。ただ、DJポリスみたいに、うまくしゃべれないです」と照れ笑いを浮かべた。

 昨年6月の「元祖DJポリス」のようなユニークなアナウンスはなかった。警察関係者によると「逆にあおらないよう、通常通りにした」という。

 美人女性警察官は「緊張しましたが、一番の緊張は皆さんに写真を撮られたこと」と、はにかんだ。【三須一紀】

 ◆元祖DJポリス

 昨年6月4日夜、W杯出場を決めた試合後に若者が渋谷にごった返した。男性警察官はユニークなアナウンスで騒ぎを沈静化。「目の前にいる怖い顔したおまわりさんは、みなさんが憎いわけではありません。心の底では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです」や「みなさんも我々も、ルールとマナーを守る日本代表の12番目の選手です」とアナウンスし、サポーターから受け入れられた。後に男性警察官は警視総監賞を受賞。