AKB48グループが7月31日、メンバー総勢141人で北海道に初上陸した。札幌ドームに約3万人を集客して、初の北海道コンサートを成功させた。今夏の全国ドームツアーで唯一、昨夏にAKB48を卒業した元エースの女優前田敦子(22)もゲスト出演し、花を添えた。

 コンサートがクライマックスに入る直前、前田の映像が流れると、この日一番の大歓声が札幌ドームにこだました。現れた前田は小さくほほ笑むと、ソロデビュー曲「Flower」を歌いだした。続いて「君は僕だ」を歌い終えると、客席からは「あっちゃん」の大コール。思わず、前田の瞳が潤んだ。「温かく迎えて下さって、素直に感極まっちゃいました」。

 昨年3月25日の卒業宣言のときのように胸に手を当て、込み上げる興奮を押さえた。息を吸い込んで「皆さん、お久しぶりです。前田敦子でーす!!」と叫んだ。AKB48のステージに上がるのは、昨年8月27日の卒業公演以来338日ぶり。共演は昨年12月21日のテレビ朝日系「ミュージックステーションスーパーライブ」以来だ。

 「はぁ~、卒業して約1年がたちました。こうやって皆さんの前で歌えるのは、本当に幸せです。今日は短い間ですけど、楽しんで帰ってください。すっごい幸せ…」。実感たっぷりに、そうつぶやくと、同じ初期メンバーの高橋みなみ、小嶋陽菜、峯岸みなみ、板野友美が登壇してきた。

 峯岸に近況を尋ねられると「毎日かつらをかぶってる」とひと言。9月放送開始のNHK時代劇「あさきゆめみし

 八百屋お七異聞」の収録話をしたつもりが、異性問題で丸刈りにして、最近までかつらを着用していた峯岸へのブラックジョークになってしまった。終演後、「本当に偶然言ってしまったと。今夜のみぃちゃんがかつらじゃなくて(地毛で)良かった」と頭をかいて笑った。

 最後は9月18日発売の新曲「タイムマシンなんていらない」を初披露して出番を終了。10分強だったが、AKB48メンバーとは違う大人の薫りと余裕を漂わせた。AKB48メンバーと歌唱できなかったのは、この日も午後に北海道入りするなど多忙でリハーサルができなかったからだった。

 前田の出演後、大島優子は「お客さんがいっぱい来てくれて、あっちゃんも来てくれてうれしい」と言い、指原莉乃は「すべては北海道ならではですね」とつぶやいた。これまで北海道では、握手会を開催しても、コンサートは1度もなく、どうしても開拓しなければならない、最後の土地だった。旧エースとともに、新たな歴史を刻んだ一夜となった。【瀬津真也】