AKB48高橋みなみ(23)が8日、AKB48からの卒業を発表した。東京・秋葉原のAKB48劇場で行われた9周年記念特別公演に出演し、10周年記念日の来年12月8日をめどにグループから去ることを報告した。

 たかみならしい卒業発表だった。自分の旬や好機ではなく、グループにとってのタイミングを優先した。己を捨てて仲間や組織のために生きてきた。そんな彼女にしかできない選択だ。

 ただ、残された後輩たちにとっては生易しいものではない。「私が去るまでに一人前になれよ」とのげきが込められている。その強いメッセージは、メンバーだけに向けたものではない。近年のたかみなは、必ず元日にスタッフをもしかっていた。「年末で忙しいのは分かりますが、全員がプロの仕事をしないと、AKBの業界での評判が悪くなります。こんなことが毎年続いたら、本当にAKBは終わっちゃいます」。

 裏方たちへの感謝と礼儀を忘れない彼女だからこそ、皆も背筋を伸ばして受け止めた。後継者の横山も人格者だが、マネなんて易々とできるものではない。たかみなが去れば、AKB48は必ず変わる。

 ただ、たかみなは「グループは変化しないと、飽きられるし、おもしろくない。毎日汗をかける劇場がある限り、粘り強くやれば、絶対に光は見えてくる」と言う。前田敦子と大島優子の両エースが卒業しても、本当の世代交代や継承は、いまだ実現していない。今は、後輩たちに全てを任せられないが、明確な目標とゴールを掲げて一緒に走る残り1年で、たかみな本人の期待も超えるほどの未来を切り開きたいと願っている。

 「AKB48とは高橋みなみのことである」

 秋元氏にそこまで言わしめたカリスマの卒業の影響力は絶大だ。次なる10年のため-。新生AKB48の生みの苦しみとなる10年目がスタートした。【瀬津真也】