俳優本木雅弘(42)が遺体をひつぎに納める納棺師を主人公にした映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督、13日公開)が、第32回モントリオール世界映画祭で最高賞のグランプリを受賞した。日本作品のグランプリ受賞は3度目。本木が映画を発案した作品だけに、喜びも大きい。3日に都内で受賞会見が行われ、本木が出席する予定。君塚良一監督の「誰も守ってくれない」(来年1月24日公開)が優秀脚本賞を受賞した。

 プロデューサー、監督、キャストら、関係者は誰1人現地に送られていなかったが、快挙の報が送られてくると、本木は大喜びだ。「驚きながら喜んでいます。あらためて『人の生死、そして命をつなぐこと』は、文化を超えて、世界に通ずるテーマなんだと実感しました。とにかく作品にかかわったすべての方々と喜びを分かち合いたい」。

 映画の始まりは、本木が出会った本だった。十数年前に、納棺師の仕事をつづった青木新門さんの「納棺夫日記」読み感銘を受け、映画関係者に紹介。儀式の特訓を受け、所作を完ぺきにして取り組んだ。本木と夫婦を演じた広末涼子(28)も「音楽、風景、物語、そして本木さん、すべてが美しい作品だと、賞をいただいてあらためて感じ入っております」と、本木の熱演を絶賛した。

 日本独特な風習や文化を背景にしていることから、どれだけ理解されるのか未知数だったが、滝田監督は「典型的な日本人の物語ではあるが、民族も、文化も、宗教も違う人たちにこの映画を理解していただいて、本当にうれしく思います」とコメントした。

 今後、中国最大規模の映画祭である金鶏賞、韓国・釜山映画祭でも、アジア映画の話題作として招待上映される予定だ。先月の試写会で、本木は「語り継がれる作品になって、20~30年後に異国の地で触れる機会があったら幸せ」と話していたが、グランプリ受賞が弾みになりそうだ。