嵐の櫻井翔(28)主演映画「神様のカルテ」(深川栄洋監督、来年公開)がこのほど、長野県松本市内でクランクアップした。花束を受け取った櫻井の目に涙がにじんだ。「ウルッときたのはあまりなかったですね。準備を含め、いろいろな人の思いが乗っかっていて、思い入れも強かった」。9月上旬に撮影開始。スタッフを前に「悩みまくった1カ月半でした」と振り返った。

 映画は地方医療の現実に立ち向かう若い医師が成長していく姿を描く。主人公は生と死の間に直面し、葛藤(かっとう)する。櫻井はどう演じればいいのか悩んだまま、撮了を迎えた。「今回に関してはそれでいいと思っていました。重たいものを背負う感覚がありました」。自分も悩める姿にあえて重ね合わせた。

 入念に準備を重ねた。病院で診察や救急医療の現場を見学する医療研修を受講。また、ビジュアルにもこだわった。患者に尽くすが、服装には無頓着なギャップを表そうと、髪形を天然パーマの設定にした。久々にパーマヘアに変え、撮影直前はパーマ部分を巻いて、カールを強調した。

 妻役で共演した宮崎あおい(24)は「パジャマでカーディガンを羽織って、紙袋を持つ姿を見てからは、お母さんって呼んでました」といたずらっぽく笑った。櫻井は「髪を洗うと『嵐』に戻ります」と本来の姿を強調しつつ「結構気に入っています」。ギャップをうまく表したとばかりに胸を張った。

 宮崎も必死に取り組む櫻井を温かく見守った。クランクアップの瞬間は出番がなかったが、寄り添った。「今回はサポート役だと思っていたので、(櫻井演じる)一止さんを支えられればいいな、と思ってやってました」。櫻井は「たくさん助けていただきました。宮崎さんが(妻の)ハルでいてくれてできたことは多分にある。大きかったですね」。“内助の功”に感謝した。【近藤由美子】