昨年、日本で大ヒットした「君の名は。」が、7日についに北米公開されました。アカデミー賞の候補入り資格を得るために昨年12月にロサンゼルスで1週間限定公開されましたが、今回は303館での全米公開。昨年の公開ではチケットが完売する盛況ぶりだっただけに、米国内でも大ヒットが期待されています。

 米国でのタイトルは、そのまま「Your Name.」。週末3日間で160万ドルの興行を記録し、13位スタートを切りました。アカデミー賞では候補入りは逃しましたが、ロサンゼルス映画批評家協会の最優秀アニメ部門に選ばれるなど、公開前から高い評価を得ていた本作。97%の批評家がこの作品を良かったと評価していると報じられていますが、「スリリングに美しい」(ロサンゼルス・タイムズ紙)「とてもチャーミングで優しいユーモアにあふれている」(ニューヨーク・タイムズ紙)「見るべき映画」(ワシントン・ポスト紙)など各紙が大絶賛しています。その理由のひとつとして挙げられているのが、ストーリーもさることながらビジュアル面の美しさ。手書きの美しい背景が感動的で多くの観客を惹きつけていると分析しています。さらに本作の面白いところは、多くの恋愛映画は出会いから始まってそこから進展していく中、主人公の2人は本当に出会っているかどうかも分からず、体の入れ替わりという変わった体験をしている点だとも指摘されています。

 日本ではジブリ作品以外で初めて100億円を超えるヒットになったようですが、ここアメリカでも03年にアカデミー賞長編アニメ賞を受賞した宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」を超える大ヒットになるのではないかといわれています。果たして「千と千尋の神隠し」の持つ1006万ドルの興行記録を抜くことができるか乞うご期待です。

 ちなみに全米でもっともヒットした日本のアニメは、「ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(99年)で、2位は「ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕」(00年)、3位は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド」(04年)。ジブリ作品では「借りぐらしのアリエッティ」(12年)が1919万ドルの興行収入で4位にランキングしています。「君の名は。」は、これらの作品にどこまで迫ることができるでしょうか。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)